Hurry up Dante! 2

「そういえばリアラ、ダンテがさぁ…」

「うん、依頼に行ったんでしょ?ちょうどさっき、事務所の近くで会ったわ」

「あ、そうなんだ。ならよかった」

「行く前に会えたなら喜んでるんじゃないか?ダンテの奴」

「だろうね。それにますます早く帰って来ようとしそう」


笑いながらティナはアイスティーのグラスを差し出す。ありがとう、とソファーに座るリアラがそれを受け取れば、どういたしましてー、と彼女の隣に座った。
リアラはストローに口を付け、二口ほど飲むと一息ついた。


「はぁ、美味しい…ちょうど喉がカラカラになってたの」

「今日も暑いもんねー。っていうか事務所の中もそこまで涼しくないよね、ごめん。いい加減にあのボロいエアコン買い替えたい…」

「ううん、外よりは全然涼しいから大丈夫。私はたまにしかフォルトゥナを出ないから参っちゃうけど、ネロはもうこの暑さにも慣れたんじゃない?」

「まぁ、夏の初めよりはな…でもやっぱり暑いもんは暑い」


談笑する中、ふいに「あ、そうだ」と呟いたティナが徐に隣のリアラの手を握った。そして気の抜けたような、へにゃりとした笑顔を浮かべる。


「?どうしたの、ティナ」

「あー…やっぱリアラの手、ひんやりしてる…」


ダンテと同じく半人半魔であるリアラの父は、"魔狼"という氷を司る悪魔だ(曰く、ケルベロスの親戚のようなものらしい)。その力を受け継いだ彼女は氷を操ることが出来て、また普通の人間よりも体温が低い。その反面、暑さにはかなり弱いのだけれど。


「思いっきり日に当たってきちゃったから、いつもよりちょっと体温高くなってるけどね」

「んー、でも冷たくて気持ちいい…リアラ最高ー」

「あはは、ありがとう」

「ティナ、リアラは冷房器具じゃねぇぞ?」

「いいのよ。それよりほら、ネロもどう?さっき帰ってきたばかりでまだ暑いんでしょ?」


リアラの手に頬を寄せ幸せそうなティナを見て、呆れ顔で注意するネロ。そんな彼にリアラは笑いながら手を差し出す。ティナと同じように涼んではどうだ、という提案らしい。


「え、…いや、俺はいいって」

「そう?」

「リアラ、リアラ」

「ん、何?」


きょとんとするリアラの肩をとんとん、と叩いたティナは、そのまま彼女の耳元に顔を寄せ、ないしょ話のように(その割に声のボリュームは大して落とさず)話しかける。


「ほら、ネロってばあぁ見えてけっこうウブだからさ、女の子に触るの恥ずかしいんだよきっと。キリエともまだキス止まりらしいし」

「オイ聞こえてんぞティナ。つーかそれ誰から聞いた!?」

「あはは、ないしょー」


まぁ、ティナの言葉はあながち間違っていないのだが。
白い頬を赤く染めたネロの追及を軽く受け流すティナ。そしてそんな2人を他所に、少し考えるような素振りをしていたリアラが「うーん…じゃあ、」と呟く。


「人間の姿じゃなかったら、ネロも私に触れるかな?」

「え?」

「ごめんねティナ、ちょっと離れててくれる?」

「? うん」


言われた通りにティナが少し距離を取ると、リアラは目を閉じた。そうすると同時に彼女の魔力が高まり、それに反応したネロの右腕が淡く光る。
次の瞬間、リアラを中心に小さな吹雪が巻き起こった。


「!」

「わ、冷たっ」


吹雪はすぐに収まり、少しひんやりとした空間に現れたのは、青みがかった白い毛並みと氷の爪を持つ大きな狼…デビルトリガーを引いて"魔獣化"した、リアラの姿だった。


「…え、いや、何で魔獣化?」

「狼リアラだ!うわぁ久しぶりに見た!もふもふだ〜!」


動物好きなティナはこれでもかというほど瞳を輝かせ、リアラに抱き付いてその毛並みを撫でている。


『ほらネロ、この姿ならどうかな?』


狼の姿では言葉を発することが出来ないリアラだが、代わりに相手の脳内に直接語りかけてくる。


「…あー、うん…そうじゃないっつーか…」

『?』

「リアラ〜もっふもふ〜!」

『きゃっ!?く、くすぐったいってばティナ!』

「…はぁ…」


ソファーでじゃれ合う2人(見た目的には1人と1匹だが)を見ながら、ネロはため息をひとつ。

たしかに、女性に触れることにはあまり慣れていない。けれどそれとは別に、誰かの恋人である女性にベタベタ触れてしまうのもどうかと思うのだ。ダンテに知られたら何を言われるか分からない。

とにかく今、彼が思う事はただ1つ。


(ダンテ、早く帰って来ねぇかな…)



Hurry up Dante!
(俺だけじゃ、女の子2人のテンションには太刀打ちできない)
***
『明日は明日の風が吹く』の土間様から相互リンク記念に頂いた小説で、うちの子とティナちゃん+おじさんとネロでした。
いやもう、ティナちゃんかわいすぎ!目キラキラさせて狼姿のうちの子モフモフとか想像するだけでかわいすぎる!うちにおいで!←
うちの子もまんまうちの子で嬉しいです!それに、『礼儀正しくて美人』だなんて…!なんてすばらしい誉め言葉!生みの親として嬉しいです(*´艸`)
もう、ティナちゃんとネロにナデナデされた後、おじさんにナデナデされるコースでお願いします←
土間様、ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!

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