Hurry up Dante! 1
『雪の雫』の雪菜さんへ相互記念です。
雪菜さん宅の夢主、リアラちゃんとティナの絡みをリクエストして頂いたので、雪菜さん宅の長編設定と我が家設定を少しミックスしてお送りしたいと思います。
【この話内での設定】
・リアラちゃんはダンテ(髭)と恋人同士。
・"Devil May Cry"にはダンテとネロとティナの3人で暮らしている。
・リアラちゃんはフォルトゥナでお父さんと暮らしていて、ちょくちょく事務所に遊びに来る。
それでは↓からどうぞ!
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夏のピークは過ぎたものの、まだまだ暑さが続いていたある日。週休6日を謳う"Devil May Cry"に電話のベルが鳴り響いた。
ソファーでゴロゴロしながら本を読んでいたティナが顔を上げると同時に、ダンテが机に投げ出していた足を打ち付け、反動で飛び上がった受話器をキャッチした。相変わらずの無駄に洗練された無駄のない無駄な動きである。
「Devil May Cry.…あぁ、そうだが…へぇ?」
おや、とティナは思う。
いつもなら電話が鳴っても、やれ人探しだの浮気調査だのといった便利屋への依頼が大半を占めているので、適当に二言三言で会話を終わらせて受話器を置いてしまうダンテだが、今日は彼の目の色が変わった。当たりの仕事だろうか。
「場所は?…分かった、これから向かう」
通話が終わり、放り投げられた受話器は綺麗に元の位置に戻ってチンッと音を立てた。
「久しぶりに合言葉付き?」
「あぁ。近場みてぇだし、ネロが帰って来たらすぐに行ってくる」
ちなみにネロは買い物に出かけていて、そろそろ帰って来る頃合いだ。
立ち上がってリベリオンを背負い、エボニーとアイボリーをくるくる回しながらやる気満々に見えるダンテはしかし、軽くため息を吐く。
「しっかし依頼は嬉しいが…今日ばかりはちょいとタイミングが悪いな」
「?…あぁ、そろそろリアラが来る頃だもんね」
首を傾げるティナだったが、すぐに合点がいって『ドンマイ』とでも言うような苦笑いを浮かべる。
リアラ、というのはフォルトゥナに住む半人半魔の女性で、なんとダンテの恋人である。このおっさんに恋人(それも一回りほど年の差がある礼儀正しい美人)がいたと知った時には、ネロもティナもそれはそれは驚いたものだ。
彼女はちょくちょく事務所に遊びに来る事があり、今日もその予定だった。
「ま、ちゃっちゃと終わらせて戻るさ。先にリアラが来たら伝えといてくれよ」
「オッケー」
「ただいま…って何だよダンテ、依頼か?」
扉が開き、両手に食材などの入った袋を抱えたネロが帰ってきた。
「あ、ネロお帰りー」
「おう、お帰り坊や。つー訳で2人共、留守番頼むぜ」
「は?」
「ん、いってらっしゃーい」
ポカンとしているネロを置いて、ティナに手を振られながらダンテはスタスタと出て行ってしまった。
「…なんかあいつ、いつになく行動早くね?依頼行ったんだよな?」
「うん。ほら、もうすぐリアラ来るから」
「あぁ、そういう事か。つーか外あっちぃ…」
ティナが片方の袋を受け取ると、ネロは額の汗を拭って一息つく。本日も見事な快晴で、そしてとても暑い。
2人でキッチンに向かい、買ってきた食材を冷蔵庫に入れる。ついでに取り出したミネラルウォーターをぐびぐび飲んでいるネロに、ティナは尋ねる。
「今日のご飯どうする?」
「あー、ラザニアにするつもり。リアラが好きだろ」
「おぉ、好物をしっかり把握とか流石はオカン」
「誰がオカンだ」
"コン、コン、"
冷蔵庫を閉めたちょうどその時、玄関扉をノックする音が2人の耳に届いた。続いて「こんにちはー」という女性の声。
「あ、来た来た」
「みたいだな」
小走りで入り口の方に向かい、扉を開けて来訪者を見るとティナは満面の笑みを浮かべる。
「いらっしゃい、リアラ!久しぶり!」
それにつられるように、アイスブルーの髪と瑠璃色の瞳が涼しげな彼女もニコッと微笑んだ。
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