Pussy Cat

私は夢でも見ているんだろうか?
朝目が覚めて身支度を整えてから朝御飯の用意をして、眠るダンテを起こしに行ったら…何だか奇妙な事が起きている。


「ダンテ…ねぇ、ダンテ。」

「……。」

「ダンテ起きて!起きなさい!」

「……うるせーな、何だよ?」


本人は全く何ともないみたいだ。
いつもよりも早い時間に、朝から大声で目を覚まさせた事を不満そうにぶつぶつとぼやいているだけ。
自分の頭の上が大変な事になっているなんて微塵も気づいていないらしい。


「頭に…耳が…。」

「はぁ?頭に耳?」

「耳、猫の耳…。」

「どうかしたのか名前?猫耳着けたいってんなら止めないけどな。」

「私じゃなくて!ダンテの頭に猫の耳が有るの!生えてるの!」

「…ちょっと待てよベイビーちゃん、疲れ過ぎなんじゃ、」


呆れたようにため息を吐きながら私を馬鹿にするように言葉を発して、頭に手をやった瞬間私が慌てているのが嘘でも幻覚でもないと理解したらしい。
両手で髪がくしゃくしゃになるくらい頭を撫で回している姿は、こんな状況でなければ笑い飛ばしてやりたいくらいには可愛らしかった。


「何だよこれ…!どーなってんだ…。」

「昨日なかったよね。触っても良い?」

「ん?ああ、好きにしろよ。」

「ありがと。…わっ、すべすべー!髪もちょっと猫っ毛になってる。」

「…っ!ストップだ、ベイビーちゃん。」


自分で良いと言った癖に、私はダンテにがっしりと両手を捕まれて下ろされる。
何故だか伏せ目がちに不機嫌な表情で、掴んだ私の手を見ているのが気になった。


「どうかしたの?」

「…あのな、やけにくすぐったいんだよ。」

「くすぐったいの?じゃあ、やっぱりちゃんと生えてるんだね。」

「多分な。…とりあえず、くすぐったくて妙な気分になった責任は取ってくれるんだよな?」

「えっ?何それ知らな…!」


慌てて逃げようと身を引いても、両腕を掴まれてしまっているせいで少しも上手くいかない。
瞬く間に簡単にベッドの上へと押し倒されて、首筋に口付けられた。
やっと離されて自由になった腕を伸ばすと、猫っ毛になったふわふわの銀髪が手に触れて指を滑って行く。
猫が喉を鳴らすごろごろした音が髪を撫でる度に響いて、ダンテが楽しんでいるのが手に取るように感じられる。
楽しいならまぁ良いか。と、私は朝から猫の遊びに付き合う事になった。



Pussy Cat
(猫のご飯にピザはダメ。)
(俺はピザの食える種類だぜ?)
(残念だけどそんな種類の猫は居ません。)
(…何で猫耳なんて生えたんだ!)
***
『Tosca』のめりろ様から頂いた小説で、猫なおじさんでした。
おじさんの慌てる様子がかわいい(*´艸`)でもすぐに慣れちゃいましたね(笑)
猫っ毛でふわふわとか、何それ触りたい←
おじさんがダンテの中で一番猫似合う気がする(笑)
めりろ様、ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!

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