わんわんお!

チュンチュン…

小鳥の囀りが朝を知らせた。
カーテンの隙間から射し込む朝日が眩しい。
もう少しだけ、と寝返りをうつと、


「……………」


すやすやと気持ち良さそうに眠る美青年の姿が。
さらさらの銀髪、睫毛の長い瞳は今は閉じられている。


「(何でこんな近いの……!?)」


寝返りをうったからだというのは十分わかっているのだが。
そんな事を考えていると、小さく呻きながら彼が起きた。


「おはよ、名前」


ふわり、と優しく笑う。
心地良いトーンが耳をくすぐる。


「って何でここにいんの?!犬はベッド禁止って言ったでしょ!?」


――"犬"、というのは、別にそういうプレイの類いではない。
彼は[Devil May Cry]の主人公、ダンテ。
私の大好きなゲームの主人公だ。
そのダンテがたまたま次元を操る悪魔に遭遇し、たまたまコートの中に子犬をいれており、たまたま次元をこえたときに子犬と合体してしまい、たまたま私が拾った、という偶然が積もり重なってこの状態になったのだ。


「んー、床で寝るのが痛かったから?」

「何故疑問形だし」


ふと、ダンテを見て気付いた。


「何で人型なの?」


そう、目の前に居るダンテは、犬耳犬尻尾のついた人型をしていたのだ。
犬型から人型に戻るには、何故か私の鼻とダンテの鼻をくっつけなければならなかった。
犬型から人型になるのはまぁ平気なのだが、その逆の時は正直緊張する。
少しでも顔を動かしたら私のそれが彼と触れてしまいそうで。
毎回毎回ドキドキしてしまう。


「寝てるときにくっつけた」


悪びれもなく笑うその姿に、毒気を抜かれた。


「もうさ…寝てるときにとかやめてよ」

「起きてるときにやった方が良かったか?」


そうじゃなくて、と言おうとしたその時、唇に柔らかいものが触れた。


「………へ」


一瞬何が起こったのかわからなくて、自分の唇に指を這わせた。


「……あ、間違えた」


頭を掻きながら笑うダンテの顔は真っ赤で。
その顔を見た私の顔にも熱が集まる。


「ぜ、絶対わざとでしょ?!」


そう怒ると、ダンテは私と鼻をくっつけて犬に戻った。
文句を言おうにも、人型じゃない分犬に文句を言っているようでどうにも気が治まらない。
だが人型に戻すには自分から鼻をくっつけなければならないわけで。
それもなんか嫌だし…
うー、と悩んでいると、ダンテが私の膝に乗ってきた。
心なしかドヤ顔をしているように見える。
ここでやらなきゃ女が廃る!!
ダンテの顔を引き付け、鼻をくっつけた。
人型になったダンテに文句を言おうと目を向ける。
……が、彼の顔は真っ赤になっていた。


「……どうしたの」

「い、いやあの、名前からしてくると思わなかったから」


後になるにつれて声が小さくなっていく。
……なに、自分からするときは照れないくせに。



乙女かっ!
(この馬鹿犬!)
(いたっ)
[…私も照れたなんて言えない]
***
たまごねこ様のところで4000を踏み、頂いた小説です。前に相互リンク記念に頂いた小説の続き。
…初代かわいい!
何あの真っ赤な顔とか!照れ顔とか!「……あ、間違えた」って、間違うところじゃないから!
しかも、隣りで寝てるって、距離近い!私なら即倒します←
初代はにゃんこ派だったのになー…わんこ派になりそう(笑)
たまごねこ様、ありがとうございました!

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