狼とうさぎの1週間 52

「なんだ、出迎えはなしか?」

「ただいま、腹減ったー!」

その時、髭と若が帰宅してキッチンに入ってきた。
いつもなら気配や嗅覚を使ってダンテ達の帰宅に合わせて出迎えをしているのだ。
だが、今日は嗅覚が使えなかったため、それができなかった。

「ごめんなさい。鼻が利かない状態だからわからなかったの」

「そうか、ならしかたない。リアラ、ただいま」

「おかえりなさい、ダンテさん」

髭は優しい表情でリアラの頭を撫でてやる。
そして若は、腹が減ったと言いながらディーヴァに抱きついた。
いきなりのことで驚くが半獣化しない。

「あれっ?うさぎの耳はどうしたよ」

「呪いなら解けたよ」

「ほっとしました」

ディーヴァはブイサインを作り、リアラは胸を撫で下ろしながら髭と若に言った。

「ああ、もう解けちまったか…惜しいな」

「ちぇ、せっかくかわいかったのによ」

「「あんなにいじめられるのはこりごりだよ・です」」

髭と若の残念そうな言葉に2人はとんでもない、と目を大きくして叫んだ。

「それよりお腹空いたなら、夕食はあと少しで出来るからお菓子食べててよ」

「今日、一日中作ってたんです」

リアラが次々に冷蔵庫からケーキやら何やらテーブルの上に並べ始めた。

「一日中!?」

「もしかしてディーヴァ、爆発寸前だった?」

「誰かさんのせいでね」

ディーヴァはにっこりと笑顔で皮肉交じりに若に伝えた。
そこにリアラがつけ加える。

「だから苺も全部使ってしまったの」

「Nooooo!!オレのストサンンンン!!」

「いや、お前だけのじゃないから。ま、仕方ないさ」

叫び、がっくりと頭を垂れた若に髭はぽむん、と肩を叩いて慰めた。

「まあ結局2人が作ったのなら美味いよな!」

「…切り替え早いなお前」

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