狼とうさぎの1週間 45
「させないっ!!」
その時、しっぽを巻いて逃げていたはずのディーヴァがリアラを横から突き飛ばした。
どちらもなんとか助かったが、ディーヴァの腕が少しだけ火傷している。
「なんでこんなことをしたの!」
「大丈夫、これくらいならすぐ治るから。それにあたし、他には何も出来ないんだもん」
「ディーヴァちゃん…」
リアラはそのまま逃げていこうとする悪魔の方を見据えると、その体を瞬時に魔獣形態に変えて奴を追った。
『ハイスピード』を使っているため、悪魔に瞬時に追いつく。
悪魔の足元を『アイシクル』の氷柱で縫いとめながらリアラは元の姿に戻った。
「よくもやってくれたわね」
リアラは大切な者を傷つけられたり、バカにされたりするのが一番嫌いだ。
父親もダンテもネロも大切だが、それと同じくらいディーヴァのことを大切に思っている。
もちろん、若いダンテである若も。
リアラは悪魔に対しかなりご立腹のようで怒り心頭と言ったところか。
怒りと共にその体からは冷たい冷気の魔力があふれ出ている。
そしてその身に宿す氷の力と同じ、冷たく鋭い視線で悪魔を射抜いていた。
そこへようやく髭と若が女性陣のいる場所へやってきた。
若は怒っているリアラを見て、自分がその視線を受けているわけでもないのに、なぜか寒気と恐怖を感じた。
「み…味方で良かった」
「ふむ。あいつはリアラに任せてもよさそうだ。ここのところの半獣化で知らず知らずストレス溜まってるみたいだもんな」
言っている間にもリアラは氷柱で地面に磔にしたままの悪魔を吹雪を使いじわじわと凍らせていった。
「消えろ」
そして虫の息になった悪魔に躊躇することなく『ジャッジメント』を施した。
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