狼とうさぎの1週間 42

こんな状態のディーヴァを残していけない、うさぎは寂しいと死んじゃうんだぞ!
という。ディーヴァを抱きしめながら必死に訴える若に呆れながらも、髭、リアラ、は全員で現場へ向かうことにした。
今回の舞台は西に2kmほど行った場所にある公園…奥には薔薇園や池もあり、そのさらに奥に行くと広大な森が広がるという場所である。
公園の入り口には人だかりが出来ていたが、その奥には誰も入らずに警官や消防隊員が入口を塞いでいた。
一番偉いであろう警官に髭が一言二言何かを言うとみな敬礼しながら道を開ける。
そうして4人は何事もなく入口を入って行った。
森につながる道はすでに火がついていたが、ところどころ水がかかったのかくすぶっていた。
消火用の太いホースが置き去りにされていて、そこからチロチロと水が漏れているところを見ると、消防隊員が火を消していたが悪魔の姿を見て逃げていった…と言ったところだろう。
進むにつれて火の勢いが増している。
一行は暑さにうんざりしながら奥にいるだろう悪魔を追う。
そして、やはり奥地に悪魔はいた。
スクリームのような顔立ちに、大きな口を持って、四つん這いになって行動している。
そしてそこから出している炎で「僕たちとっても楽しいです」とでも言うかのように、森を焼きはらっていた。

「このくそ暑いってのに、よくもまぁ、悪魔どもは火遊びなんかする気になったもんだ」

「同感だぜ」

キャンプファイヤーでもしているかのような悪魔の動きにイライラを募らせながらダンテ達は剣を構えた。

「そんなこと言ってないで早くやっつけて!火だって消さないといけないんだから」

「相手の攻撃手段が炎を吐くだけとは限らないから心配だけど、数は少ないわ。ダンテさんと若、2人で倒してください」

リアラとディーヴァがダンテ達に悪魔の相手をするよう促す。
髭と若は悪魔の方へと走りながら返事をした。

「リアラの頼みとあっちゃしかたねぇ!わかった!」

「OK!まかせろ!」

ダブルスティンガーが炸裂し、陣形を組んでいたらしき悪魔が四方八方に蹴散らされた。
それを見ながらリアラは氷を帯びた魔力をその身にまとわせ始めた。
悪魔の炎と半魔の氷。
相性は最悪だが、消火しなくてはいずれ大火事になってしまうだろう。

「私はこの火を消すわ。ディーヴァちゃんは今結界をはるからその中に…」

「あたしも手伝う!」

「え?」

リアラがディーヴァを振り返ると太いホースを持っていた。
いつの間にやら、置き去りにされていた消火用ホースを持ってきたようだ。

「わかった。そっちの方を頼むわ!」

「うんっ!」

ネコの手、いやこの場合は天使の羽も借りたいという表現が正しいか。
1人で消火するのは少し大変だと思っていたのだ、人手は多いにこしたことはないだろう。

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