狼とうさぎの1週間 36
ひとしきり昼寝をしてディーヴァはすっきりした顔で起きた。
寝る前の自分がどのような状態だったかを若から聞いて、ディーヴァはあわてて頭を下げる。
「迷惑かけてごめんなさい、あたし基本的に8時間くらい寝ないとだめなんだあ…」
「私、迷惑だなんて思ってないから気にしないで」
「それに寝る子は育つって言うだろ」
みんな「それにしてはまったく上に伸びていない」と思ったが、口にしなかった。
それでも気のすまなかったディーヴァは、リアラとネロが掃除をしているのを見て、手伝いを申し出た。
ほとんど、目につく場所は終わっていた。
だが、2人はもう一ヶ所やろうとしていたところの手伝いをしてもらうことにしたのだ。
そこは手の届きづらい天井付近のシーリングファンである。
能力の高いリアラとネロにかかれば、高い位置のそれも簡単に掃除出来るのだが、ディーヴァの熱意に負けたのだ。
天井掃除の為の清掃用具をすすんで持ってきたネロを見たディーヴァが感心しながらリアラと話す。
「リアラお姉ちゃん、家事を手伝ってくれる男の人って、今すっごくポイント高いんだよー。ダンテと違って」
「結婚相手にもよさそうね。ネロのことじゃない?キリエが羨ましいわ…ダンテさんは家事はあまりやってくれないし」
その言葉を間近で聞いたネロは、恥ずかしさにポリポリと鼻の頭をかいた。
そして何を思ったか、ダンテ達も立ち上がる。
「よし、オレ達もなんかやる!なんなら脱ぐぞ!」
「リアラ、何すればいい?ナニか?」
リアラとディーヴァはもはや何も言うまいと気にしなかったが、若と髭はその前からすでに上半身裸だった。
なのにそれ以上どこを脱ぐと言うのか。
「なにもしないで。ダンテはそれ以上どこ脱ぐの?表皮?」
「ダンテさん、何バカなこと言ってるんですか!」
「てめぇらは邪魔するなら寝てろ!」
女性陣2人の気持ちを代弁してか、ネロが昨日に引き続いて悪魔の右腕を使う。
メキッという音をたててダンテ達が床にめり込んだ。
「ネロさんやい、これ寝るっていうか死ぬって感じなんすけど…」
「坊や、今度から右腕禁止な」
床の下から若と髭のくぐもった声がした。
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