狼とうさぎの1週間 34
リアラの作ったチーズ入りのオムレツをメインに朝食をとっている。
ディーヴァはむにゃむにゃ言いながら食べていて、いつこぼすかわからないような状態だった。
まるで小さな子どもである。
リアラも若も、他の者も少しハラハラしながら見ていた。
「せっかくリアラがディーヴァの好きなチーズ入りにしたってのにこれじゃあな…」
髭が苦笑してリアラに同意を求めていた。
リアラも髭に苦笑を返すだけだった。
「おなかねむい…」
「なんだそりゃ」
ディーヴァのつぶやきにネロまでもが呆れて聞き返す。
つぶやいたあとはコテン、と首を下に向けて眠りに落ちそうになっている。
「おなかは空いてるみたいね。ただ、同じくらい眠いんじゃないかしら?」
「おーい、ディーヴァおきろー」
若はディーヴァを軽くゆすってキチンと食べるよう促した。
もそもそ食べだしたディーヴァを見ながら、リアラが若に聞いた。
「ディーヴァちゃんって寝不足するといつもこうなの?」
「不眠症になったことはあっけど、寝不足にさせたことはないからわかんねぇな」
「そう…ディーヴァちゃん、食べたらまた眠っていいからちゃんと食べちゃおうね」
面倒を見るリアラは姉というよりは母親のようだ。
髭は、いつかやってくるであろう、母親となったリアラの姿を思い浮かべた。
美しく優しいリアラと、かわいい子ども。
そしてもちろん、その隣には自分の姿がいる。
「子どもはリアラに似たかわいい娘がいいな…」
「「「はい?」」」
髭のよくわからない言葉に、ディーヴァ以外の全員が不思議な顔をした。
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