狼とうさぎの1週間 33

今日で5日目である。
起きてきた髭がキッチンに顔を出した。
キッチンには一足早くリアラとネロがいて、朝食の準備にいそしんでいた。

「morning!リアラ、ネロ」

「おはようございます」

「オッサン、早いな」

「坊やも来てることだし、たまにはな」

「いい加減坊やって言うんじゃねぇよ…」

ネロが得意の悪態をついて髭につっかかるのを横目に、リアラはフライパンに卵を割り入れる。
そのうち、同じく起きてきた若がキッチンに入ってきた。

「ふぁ〜おはよう…あれ?ディーヴァは?」

愛しの彼女がいないのを見て、キョロキョロと探す。
冷蔵庫や床下収納まで見ている。

「おーい、ディーヴァ?どこだー?」

そんなところにいるわけないだろうに、やはり若は阿呆である。
リアラはあきれ顔で若を見た。

「俺も気になってた、寝坊か?あいつにしちゃあ珍しい」

「えっとね、ディーヴァちゃんは…」

ディーヴァは今、リアラと寝起きを共にしている。
リアラが説明しようと口を開くとディーヴァがやってきた。

「お、おはよう…」

壁に手体を預けながらやっとこさという感じでやってきた彼女の顔色は優れない。
病気にでもなったのだろうかと思ってしまう。
さらに目元には薄く隈が浮き出ていた。

「どどどどうしたんだ!?」

ネロの大嫌いなマッドサイエンティストのようにどもりながら、若が心配そうに大きな声を出した。
ディーヴァは顔をしかめ米神を押さえて若から離れた。

「ダンテ…お願い、頭痛くなるから大声出さないで…」

「わ、悪い…」

そのディーヴァの様子に何があったのか聞きたかった髭とネロも押し黙る。
見かねたリアラが代わりに説明した。

「ディーヴァちゃん、夜中までがんばってたの」

昨日の夜、ディーヴァはネロが持ってきた悪魔の資料の解読をしていたのだ、という事をリアラは3人に話して聞かせた。
夜中までとは早く眠る彼女にしては珍しいと若はディーヴァの様子を見ながら思った。
なんでも、リアラは少し付き合って起きていたし、お茶を入れたりしていたのだが、気が付いたら寝てしまっていたという。
そのまま朝方に目を覚ましたら、ディーヴァはまだリアラに背を向けて机にかじりついていた。

「徹夜したのなんてジュニア・ハイ・スクールの卒業試験以来だよ〜難しかった!」

「終わった後、少しは眠れた?」

「うん、リアラお姉ちゃん、ありがと」

それ以上やっても体を壊すばかりだろう。
そう思ったリアラは朝食を作ろうと起きた時に、もうそろそろ終わりにして少し眠るように言ったのだ。
それでもとても眠そうに体が揺れている。
そのままにしておくと、その内立ったまま寝てしまいそうだった。
リアラはすぐに朝食にすることにして調理を急いだ。

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