狼とうさぎの1週間 20
「あー…まあ…それもある。せっかく早く起きたんだし、たまには早めに朝飯にするか」
「ピザトーストでいいならすぐ出来ますけど…」
「十分だ」
わしゃっとリアラの頭を撫でて返事を返した。
「あ、じゃああたしダンテ起こしてくる」
ディーヴァが慌てたようにドアを開けた。
もう一人の寝ている者を起こしに二階へ行くのだ。
ドア向こうへ消えていくディーヴァにリアラが注意した。
「またいじめられないようにね」
「大丈夫!叩き起こすから!ダンテさん、ちょっと借りるよー」
ドアから再度顔をひょっこり覗かせて、ディーヴァは両手に持っているものを見せた。
髭の『パンドラ』だった。
ディーヴァには武器として使うことは出来ないだろうが、アタッシュケースの形をしたそれで殴ることは可能だろう。
頭に降りおろされたら、とても痛そうだ。
「…加減してあげてね」
階段を登っていくディーヴァの足音にリアラは小さく呟いた。
「大丈夫だろ、『俺』だし」
「それもそうか」
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