狼とうさぎの1週間 17
「ホントかディーヴァ」
「確かにそうなんだけどさ…」
「いつもこんなに拒否しないだろ…」
「ご、ごめんね、ダンテ」
悲しそうに言う若に、ディーヴァが謝る。
しゅん…。
ディーヴァの頭の上のうさ耳が申し訳ない、と垂れた。
「でもなんでなんだろうね?」
うーん。
リアラは考え込んだ。
「ディーヴァ、すぐ逃げようとして『脱兎』の如く駆けてったよな」
それは先ほどリアラも思ったことだった。
「お前、脱兎なんて言葉よく知ってたなー」
「バカにすんな!」
バリバリバリと、音を立てて若は氷から抜け出した。
ビビってディーヴァはさらにリアラの後ろに引きこもった。
ディーヴァはいつにもまして怖がりで泣き虫になっているようだった。
リアラのようにデビルトリガーを発動すれば魔獣化をするのとは違い、ディーヴァは耳が生えるなど初めてのことだ。
情緒が不安定になっているからだと思ったが、違うようだ。
『うさぎ』だったかららしい。
うさぎはとても臆病な生き物である。
そう言えば私もいつもより狼の気持ちになっているような気がする。
リアラはうさぎの耳をつけたディーヴァを見るとなんだか追いかけたくなる気持ちになるのだ。
そう。
いつもよりも『狼』としての特性が色濃く出ているようだった。
うずうずしてしまうが、ここはぐっと我慢しなくては若と同じになってしまうだろう。
[ 25/130 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]