狼とうさぎの1週間 13
キィ…。
真っ赤な顔をしたリアラが出てきた。
「ひどいめに会ったわ…」
赤い顔だが、ぐったりとしている。
こんな様子ではきちんと疲れが取れたか怪しいものだ。
「お帰り、ちゃんと疲れとれたの?」
ディーヴァはアイスティーのグラスを渡して聞いた。
よく冷えたアイスティーが火照った体に染み渡る。
美味しくて、リアラは珍しく一気に飲み干した。
「ありがとう、ダンテさんが来なければもっと休めたと思うよ。…また耳と尻尾、出ちゃったね」
頭上に生えた狼特有の耳を指でいじくる。
ディーヴァもそれに習って自分のうさぎの耳を触った。
「呪いはまだ続いてるのかな、さっきわかったんだけど驚くとこうなるみたいだよ」
「驚くと、かあ…」
「リアラ、尻尾がまだ濡れてるぞ」
考え込むリアラに髭が茶々を入れる。
会話に参加したかったようだ。
「誰のせいだと思っているんですか!」
髭はピシャリと言い放つリアラをゆっくりと抱き締め、その腕に閉じ込めた。
「俺のせいか?」
「〜〜〜ッッ///」
真っ赤な顔を晒し、何も言えないリアラを見て、ディーヴァはお腹がいっぱいだった。
「はいはい、ごちそうさま!ダンテさん、お風呂が温くならない内に入ってね、ごゆっくり〜」
ひらひらと手を振ってディーヴァはその場をあとにした。
「ちょ、ディーヴァちゃん!」
エコーがかかったように声がフェードアウトしていく。
「ごゆっくり、だとさ」
髭は人の形態で獣耳やしっぽを触れる日が来るとは思っていなかった。
それに最初の時はゆっくり触れられなかったのだ。
リアラを腕に閉じ込めたまま、気が済むまでじっくりと堪能した。
「相変わらず毛並み最高だ」
撫でられ、耳をカリカリとかかれると気持ちよくてうっとりしてしまう。
それが髭ならなおさらだ。
ぶんぶんとしっぽを振り回してリアラは喜びを表現した。
言葉には出さなかったが、非常に嬉しいらしい。
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