狼とうさぎの1週間 12

「やー、絶景だったぜ!」

頭にリアラのアイシクルを受けたのだろう、氷柱がざっくり刺さったままの髭がキッチンにやってきた。
でも、刺さっているのも痛くないのか、それかよっぽど痛覚の鈍い阿呆なのか、気にしていないようだ。
まあ、『ダンテ』だからディーヴァも気にしないことにした。

「うわ、痛そうだな」

「ダンテさん、何やってんですか…」

「ちょっとばかし、リアラをな」

「覗いたのか?」

「ああ」

「やっるぅ」

「だから言ったのに。ダンテは自分も、とか考えないの!」

呆れて物も言えない。
だが、邪なことを考えたであろう、若を注意することは忘れない。

「なんでバレた」

ため息をこぼすディーヴァの脇で、髭は頭に刺さった氷柱を引っこ抜こうとしていた。

「ちょっと待って。それ引っこ抜いたら血が吹き出るでしょ、その辺汚したらちゃんと拭いてくださいよ?」

ここはキッチンだ、汚されてはかなわない。
だが、髭は面倒そうに顔を歪めた。

「髭、ディーヴァの言う通りにしといた方がいいぜ。怒るとおっかねぇから」

「何か言いまして?」

「おっと!なーんにも?」

そう言って若はこれ以上とばっちりが来ない内に部屋をあとにしてしまった。

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