狼とうさぎの1週間 8

残りのスケアクロウを倒し終えたらしいダンテ達が駆けてきた。
ダンテ達は勝負の結果を話ながらやってきている。

「オレは59体やったぜ」

「悪いな、俺は60だ、おいリアラ、ディーヴァ、さっきはどうし…!?」

「ちぇっ、オレの負けかよ…って!なんだそりゃ!?」

リアラとディーヴァを目に入れたダンテ達は、ぴったりと静止した。
2人には見慣れない耳(リアラはしっぽも)がついていたのだ。

「うさ耳だよ」

「狼の耳としっぽです」

リアラとディーヴァがきょとんとする度に、ぴこぴこと耳が動いていた。

「ふーむ、呪いの一種だな」

一通り何があったのかを聞いていた髭が、あごに手をやりながら自論を述べる。
その言葉に女性2人は微妙そうな顔を見合わせた。
実害はあまりなさそうだが、やはりいつ元に戻るかわからないような呪いは困る。

「呪い…だから取れないんですね。困ったなあ…」

「いいじゃねぇか、かわいいぞ」

髭は耳の生えたリアラの頭に手をやると、愛しげに撫でた。
リアラはその行為を甘んじて受け入れている。

「ダンテさん…///」

一方、若はうさぎの耳を生やしたディーヴァを見て至極嬉しそうに飛びついた。
まるで盛りのついた犬のようであり、これではどちらが獣化をしたのかわからない。

「ずいぶんとかわいい呪いもあるもんだな!」

「ぎゃー!ダンテこっちこないでよ!」

抱きつかれる寸前でディーヴァはささっとよけて逃げた。
そのままリアラと髭の後ろに隠れる。
2人はくすくす笑いながらディーヴァを守った。

「何で逃げんだよ!」

前言撤回、多少の実害はありそうである。

「あ、そうだった。ディーヴァちゃんはなんでかばったの」

リアラは思い出してディーヴァに向き直った。
咎めているというよりかは、心配から言っているのだった。
自分も呪われたのになんと優しい子だろう。

「だってリアラお姉ちゃんはあたしの『お姉ちゃん』だもん」

「ディーヴァちゃん…」

じぃん…
リアラは感動して目頭が熱くなった。
リアラとディーヴァの半獣状態はそれからきっかり30分で元に戻った。

「よかった!30分で元に戻ったね!」

「でもずいぶんとちっぽけな呪いだよね、すぐ解けちゃうなんてさ!」

女性陣2人は手を取り合って喜んだが、ダンテ達は反対にがっかりした表情だった。
若に至っては口を尖らせて、特にがっかりしている。

「なんだ、つまんねーの!」

髭は「呪いなのにおかしいな」と腑に落ちないとでも言いたげな視線で2人を見ていたが、心は若と同じだった。

「もう少し堪能したかったぜ」

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