狼とうさぎの1週間 7
「って、リアラお姉ちゃんも耳ついてるよ、しかもしっぽも出てる!…んん?それってまだ魔獣化してるってことなの?」
「え、私一部だけ魔獣化って普通だとありえないことなんだけどな…」
リアラの場合、通常は完全に獣形態を取る『魔獣化』なのである。
耳としっぽだけなんて、普通はありえないだろう。
頭の上とお尻を指さされ、リアラも両手で確認した。
ふさふさとした薄い色の狼の耳が頭についている。
お尻にも魔獣化の時と同じ毛色のふさふさとした狼のしっぽが揺れていた。
人間の姿をしている時に自分のふさふさした毛並みを触れるとは貴重な体験だ。
それは自分で触れてもとても気持ちのよい毛並みだった。
「ダンテさんの気持ちがちょっとわかったかも」
リアラはクスリと笑みを浮かべた。
ダンテはリアラが魔獣化する度にいつも頬ずりしたり撫でまわしたりしてくるのだ。
「これって…何だろう?」
ディーヴァはぐにぐにと取ろうとひっぱるが、皮膚と繋がっているようだった。
痛覚もあるのか、痛みが発生する。
きちんと自分の物のようだ。
「うーん、魔獣化の一種ではなさそうだね」
試しに魔力を使い解除をこころみるが、魔力は関係ないのか取れることはなかった。
でも、お互い可愛いし和むので、2人はおかしそうに笑い合った。
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