誰にも盗めぬ狼のはぁと 3

『貴殿の所持する、Frozen Butterflyをいただきに参ります』

そんな予告状を出し、今はそれを手に入れるためのミッションの最中だ。

闇に溶け込んで光る青い眼二つ。
だけど今夜の目は、なんだか少し沈んで見える。

本当のことを言えば、少しばかりつらい。
何がつらいって、怪盗稼業ではない、この胸に潜む熱い想いだ。

リアラのことが好きなのだが、なかなか伝わらない。
やっと手の届くところまで行ったかと思えば、彼女はまたヒラリと蝶のようにその手を逃れる。

嗚呼、目の前の蝶の標本と、リアラの姿が重なって見える。
センサーを解除していないのにも関わらず、つい、ダンテはそれに手を伸ばしてしまった。

ジリリリ!警報が響き渡る。

「しまった!」

いけない、今は仕事に集中しなければならなかったのだ。
そう思った時には遅かった。
金属の檻がガシャンと下がり、ダンテを閉じ込めてしまった。

一度入れば内側からは出られぬであろう、内側に鋭い刃の向いた構造。

「くそ…失敗したっ!……もう、ダメか…」

吐き捨てるように言えば、近づく足音。
とうとうお縄にかかり、銀猫の素性が世間にバレるのか…そう思って目を閉じれば。

ガシャアアアアン!
目の前の檻が思いきり破壊されてぶっ飛んだ。
破片を撒き散らせながら、飛び込んできたもの…それはリアラだった。
勢いをつけた鋭い蹴りで、檻を破壊したのだ。

「何弱音吐いてるんです?らしくないですね」
「リアラ…」
「『盗まれたら負け』それだけがルールでしょう?つまり、盗んだらこっちの勝ち…早く行きますよ」
「あ、ああ…」

素早くセンサーを解除して目的のものを手に入れ、駆け出す2人。
少しだけ失敗もあったが、今夜の大活劇も無事終わった。


「…なあ、リアラ」

しばしの休息を楽しみながら、ダンテは問うのだ。

「その瞳は、『狼のハート』はいつ俺のものに?」
「冗談言うのはよしてくださいね」

にっこりと笑顔でかわされてしまった。

しかしリアラは、ダンテから見えぬところで少女のように頬を赤くしていた。
この恋心は、簡単には盗ませませんよ、ダンテさん?

狼は心を隠して、笑いかける。


「はあ…次は何がほしい?」
「次はあれが欲しいです♪」



***
闇姫様のサイトで再び曲リクエストをして頂いてきました。
リクエストは「『怪盗ピーター&ジェニィ』で怪盗パロのうちの子とおじさん」。本来はあちらのお宅の夢主ちゃんやダンテも入れた内容で書くのが決まりなのですが、特別にうちの二人だけで書いてくださいました、ありがとうございます…!
ちょっとツンデレなうちの子かわいい!嫉妬しちゃうなんて、うちの子じゃ中々ないから新鮮でした。おじさんは相変わらずおじさんでした(笑)
闇姫様、ありがとうございました!

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