一緒にいるだけで溶けてしまいそう 11

息がつまりそう。
息が苦しい。

お互い傘を支えるために触れている右手と左手。
そのどちらの手もが、恋の喜びに歓喜している心がうち震えることで振動が伝わり、震え続けていた。

リアラの胸はトクンと高鳴り、髭の胸は熱い鼓動を伝えている。


はんぶんこの傘、2人だけのセカイ。
手を伸ばせば簡単に届くその距離、数センチ。

どうしよう。
どうしたらいい。


言葉にしなくても、この想いが君に届けばいいのに。
言葉という些細な物でなんて、伝えたくない。



ゴーン、ゴーン…。

雨の中、夕方の鐘が鳴り響く。
もうすぐ夜がやってくる、と伝えていた。
明日は平日、髭もリアラも日常生活のため、そろそろ別れの時間が近い。


「もうすぐ、別れの時間だな」
「そう…ですね」
「今日はリアラの行きたがってた水族館に行けなかったからな。次に行くとするか」
「はい…その時はお弁当作りますね」
「ああ、楽しみにしてる」


ああ。
このまま…。

このまま時間が止まってくれればいいのに。
泣いてしまいそう。

泣きたい思いにかられるのは、もう別れの時間が迫っているからか。
次に会える約束がうれしいからか。
それとも間に流れる空気から、少しずつ伝わってきているお互いの愛の深さにか。


きっとどれもが本当の理由。
でもそのどれもが、好きという思いからの理由で…。

嬉しくて死んでしまうわ!
嬉しくて死んじゃいそうだ!

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