一緒にいるだけで溶けてしまいそう 7

部屋を出れば、そこには同じタイミングで自分の部屋を出てきたらしいディーヴァと鉢合わせた。
リアラも昨日買った服に着替え済みだが、こちらも昨日買った服に着替えていた。

「おはよう、ディーヴァちゃん」

こっちを凝視したきり何も言わず動かないディーヴァ。

「……ディーヴァちゃん?」

もしも〜し、おーい。
意識をどこかに飛ばしているディーヴァを呼び戻そうと、リアラはその目の前に手をちらつかせる。

「ハッ!ごめん、あまりのかわいさに動きが止まっちゃった!」
「えっ!!」

お互い恥ずかしそうに顔を赤らめる。
リアラの顔はディーヴァのそれと比にはならないほど赤くなっていた。
おいお前ら女同士だぞ、顔を赤らめるな。
ダンテ達が見たらそんなことを言いそうである。

「あ、ありがとう…」
「いえいえ」
「ディーヴァちゃんもいつもと違う服装、よく似合ってる。とってもかわいいよ?思わずぎゅーってしたい」
「じゃ、ぎゅーする?」

なんという百合展開。
リアラもディーヴァもクスクス笑みをこぼし合う。

「ふふ、女同士だからスキンシップの延長線上でそれもアリね。でもそのお役目は若に任せるわ」
「う〜…ダンテにやられるのははずかしいよ…」

今度はディーヴァが真っ赤になる番。
赤く染まる頬を隠すように、抑えてうつむくディーヴァを初々しいなあと思うリアラだった。

そんなディーヴァはすでにバッグを片手に下げている。
朝食も食べず、もう出かけるのだろうか?

「ディーヴァちゃん、何時に出かけるの?」
「んー?もう行くよ」
「ってことは朝ごはんは食べないで行くの?大丈夫?」

ディーヴァは意外と……腹っぺらしだった。
お腹が空くと少し機嫌が悪くなる。

「だぁいじょうぶぅ!待ち合わせ場所はファーストフード店だからね!もしあれなら、たまにはダンテにおごってもらうし」
「そっか」

若はたいてい金欠である。
いつもは割り勘か、ディーヴァ持ちという体たらく。

「リアラお姉ちゃんは?」
「私は軽くトーストぐらい食べてから行こうかと思って」
「そうなんだ」
「あ、そうそう」

朝一番のコップ一杯のミネラルウォーターを一気飲みしながら、ディーヴァが思い出したように言う。

「食べ物で思い出した。お出かけ先でトマト系や醤油使う物、あとカレーうどん!ああいう物を食べる時は汁とかはねるから気を付けてね?白い服着てるんだし」
「う、うん…わかったわ。ディーヴァちゃんも薄い水色だから、ね?」
「うん。もちろん!」

たまに変なところを気にするディーヴァだった。

チラリと壁掛け時計を目に入れる。
約束の時間は近かった。
いくら若が相手とはいえ、こちらが待たせるのは忍びない。
それに学校には遅刻を繰り返す若も、ディーヴァと会う時は話が別。
いつでも先に来て忠犬のように待っているのだ。

「時間に遅れちゃうから、またね!行って来まーす!」
「うん、いってらっしゃい」

わたわたと慌ただしくディーヴァは行ってしまった。
いつものレースたっぷりリボンたっぷりのフリフリした物とは違い、活動的にも見える服装だからか、ディーヴァの行動はいつもより元気いっぱい活発的に見えた。

小さく手を振るリアラは自分もいつもより輪をかけて大人しく、かわいらしい仕草になってるんじゃないかと思い、1人赤面した。

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