一緒にいるだけで溶けてしまいそう 6

朝目が覚めて。

リアラは起きがけ一番、顔を赤くしていた。
熱があるとか、病気なわけではない。
これから会うというのに、夢の中でも髭と会っていたためだ。

頭を占めるのは髭のことばかり、寝ても覚めてもとはこのこと。
夢にまで見るとは、リアラは自分で考えているよりも髭のことを深く愛しているようだ。


夢の中のダンテさんは私のことを愛しそうに「リアラ」と呼んでくれた。
優しい表情で手を差し出し、私がその手を取ると、強く引き寄せられて……気が付けばその胸の中。

抱きしめられていた。


思い出すだけで爆発しそう。

「〜〜〜〜〜っ」


耳までさらに赤く染まる。
リアラは枕に顔をうずめ、叫びをあげた。

叫びは外にもれることなく、枕の中へ吸い込まれる。

「…はぁ……出かける用意しなくちゃね…」

チラと目線を上に上げれば鏡台に映る自分の顔。
その前髪がまっすぐに垂れて、瑠璃色の目を少し覆い隠していた。

「前髪…ちょっと伸びちゃってる」

昨日買う時は気がつかなかったが、横に流せそうに長くなってきている。
これではせっかく昨日買ったスナップピンが一番かわいく見える状態に留めづらい。

ハサミを手にすると慎重に慎重を重ね、長くなってしまっている前髪部分だけを切り落とした。

前に髭と会った時もちょっと長かった前髪。

『前髪切ったのか。どうしたんだ?』

なんて気づいてもらえるだろうか、そんなに言うほど切ってないけど…。

「よし!」

前髪ついでに軽くメイクも施す。


ディーヴァに選んでもらったコーディネート。
ピンクのスカートに花の髪飾り。
『オンナノコ』らしいかわいい格好。


私にもちゃんと似合ってる?

鏡に映る自分に呼びかけてみる。

大丈夫、ディーヴァちゃんのお墨付きだもの。
にこっ。

自分が笑えば、鏡の中の自分も華やかな笑顔を浮かべた。

「笑顔になるのよ、リアラ!今日の私はかわいいのよ!」


気分も新しくして、深呼吸。
リアラは部屋のドアを意気揚々と開けた。

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