一緒にいるだけで溶けてしまいそう 3

周りの店員や他の買い物客の目が恥ずかしい。
カーテンを一気に開けることで逆に目立ってしまったようだ。

「ホラ、かわいい」
「う……あまりかわいいを連呼しないで。あとでディーヴァちゃんの服を選ぶときに仕返ししちゃうわよ」
「恥ずかしいし、それはいやかも」

かわいい。
そう感想を述べるディーヴァが思い立った。

「あと上着…」
「上着?」
「リアラお姉ちゃんがいくら北国出身だから寒さに強いって言っても、北国とこっちの寒さは種類が違うものなんだよね?」

唐突に寒さの違いについて聞かれた。
よくわからないままリアラは返答する。

「うん、そうだよ」

北国の冬は寒いが、それは肌を刺すような寒さでありこわばっていれば時には耐えきれる…『寒い』と言うよりも『痛い』もの。
しかし、こちらに上京してきてリアラは寒さの違いというものを知った。
こちらの冬の寒さは、こわばっていればいいというものではなく、じんわりと染みこんでくるような寒さだったのだ。

「この時期は雨が降ったら寒いし、上着も買わなきゃ。ましてやかわいいとはいえ、肩出しなんて…」

おいっ自分が選んだんだろうが!
若がいたら間違いなくそう発していたにちがいない。
リアラは試着室に引っ込み、カーテンから首だけ出して苦笑した。

「これなんてどう?」

フワフワと綿あめのような塊を渡された。
広げるとそれは、薄いピンクのフワフワケープであり、真ん中に花の形のボタンがあってそれで軽く止めるタイプのものであった。

何から何まで甘っ!

さすがのリアラも顔を赤くするほどの甘いコーディネートだ。
だがディーヴァの言う通り、たまにはこういったものも着てみようと思う。
別に興味がないわけではなく、なんとなく敬遠していただけなのだから…。


「うーん。あとは髪かざりかな」

そう言って店内を物色し始めるディーヴァに、リアラは目を見開く。

「え!?まだあるの!!」
「ここまで来たら当然、トータルコーディネートでしょ」
「あぁ、そうなんだぁ…」

もうどうにでもしてほしい。
ここまで来たらまな板の上の鯉、好きに調理してください。


「あんまりゴテゴテしてるのはつけづらいだろうし、これくらいならいいかも…」

選び終えたようだ。
ディーヴァが持ってきたのは小さな小さなスナップピンだった。
小さな花が並んでおり、よく見ればケープのボタンと同じ花、スカートと同じピンク色。

鏡で合わせてじっくりと見てみる。

「わ、かわいい…」
「うんうん」

これにてリアラの服選びは終了。
非常にかわいらしいコーディネートとなったのだった。

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