一緒にいるだけで溶けてしまいそう 1

「どうしようディーヴァちゃん!」
「え、何があったの、リアラお姉ちゃん?」

本日は金曜日の就寝前。
多少歳が離れている者同士ではあるが、ルームシェアをしているリアラとディーヴァは共有スペースでのんびりとお茶をしていた。
話すでもなく携帯電話をいじり、お互い携帯向こうの相手とメールのやり取りをしている。

そんな折に、リアラが困ったように言ったのだ。


「あのね…あさってなんだけど…」

あさって、つまりは日曜日である。
リアラが言うにはこうだった。

メールをしていた相手、ダンテと日曜日にデートをすることになったらしい。
だが、着ていく服が考えつかないというのだ。

「服…どうしよう。たまにはおめかししてダンテさんに会いたいのに……」
「へぇー、奇遇だね!あたしもその日にダンテと会うんだよ!…まあ、ダンテに付き合ってゲームセンターに行くだけなんだけどね」


同じダンテ、という人物が出て来た。
実は、お互いの恋人の名前はダンテ、同じなのである。
2人は区別をつけるためか、リアラはディーヴァの恋人であるダンテを若いダンテということで『若』、ディーヴァはリアラの恋人をリアラ同様『ダンテさん』と呼んでいる。

ちなみにここではダンテさんではなく、無精ひげを少し生やしたダンテなので『髭』と表記させていただく。


ディーヴァと若は同じ高校で先輩後輩関係から恋人関係に発展している。
そのため年がら年中デートしているが、リアラと髭は違う。

リアラと髭は恋人同士歴こそディーヴァ達同様長いのだが、いかんせん少し離れた地域に住むもの同士。
遠距離恋愛…とまではいかないが、それに近い恋愛関係だった。

「リアラお姉ちゃん、明日のご予定は?」
「…特にないよ?朝起きて、ご飯食べてお掃除して…それくらいかな」
「ならお掃除が終わったらあたしとデートしない?」
「ディーヴァちゃんと…デート?」
「そう。服買いにいこうよ!いつも着ないような服着て、ダンテさんのハートをさらに鷲掴みだよ!」
「わ、鷲掴み……」

立ち上がり拳を握りこんで熱弁するディーヴァに、若干ひきながらもリアラは頷いた。

「ん。じゃあディーヴァちゃん、明日お姉さんとデートしてくれる?」
「もちろん。喜んでエスコートさせてもらうよ。よーし、明日はリアラお姉ちゃんに似合いそうな服じゃんじゃん選ぶね!あ、そうだ!あたしも日曜日着ていく服買おうかな」
「ふふ。だったら私もディーヴァちゃんに似合いそうな服、選んでもいい?」
「うん、ありがとう!」

キャッキャウフフ!
女性達の会話は夜遅くなっても留まることを知らない。

そのまま会話はお互いの恋人の話にまで移行し、そのまま夜は更けていった。

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