6匹の白にゃんこ

※if話で、allメンバー&夢主。銀髪達が猫になっちゃったよ!





「ただいまー」

リアラが事務所の扉を開けると、ニャー、と鳴きながら白い猫が近寄ってきた。甘えるように足元に擦り寄る猫に、リアラは微笑む。

「ただいま、ダンテさん」

屈んで頭を撫でてやると、白い猫ー髭は気持ちよさそうに目を細め、ゴロゴロと喉を鳴らす。立ち上がってキッチンへと向かうと、リアラはテーブルの上に食材の入った紙袋を置く。
紙袋から食材を出していると、テーブルに飛び乗った髭がこちらを見上げた。

(今日の夕飯は何だ?)

「鮭のムニエルです。あとはポテトサラダとコンソメスープを作ります」

(いいな、うまそうだ)

「スープはある程度冷ましてから出しますね。熱いとダンテさん達が飲めませんから」

(悪いな)

「いえ、これくらい何てことないですよ」

にっこりと笑みを浮かべ、リアラは調理を始める。
かれこれもう三日前だろうか、リアラが買い物で事務所にいない間に悪戯好きな悪魔がやってきて、ダンテ達に呪いをかけたらしい。自分が戻ってきた時にはダンテ達の姿はなく、代わりに6匹の白い猫がいて目をぱちくりさせたことを覚えている。
猫になっても元は半魔のためか、テレパシーで会話ができるため、意思疎通には何ら問題はない。困ることといえば猫になったせいか猫舌で熱い物が食べられないこと、元の姿に戻るのにまだ時間がかかりそうなことくらいだろうか。
じゃがいもを茹で、その間にコンソメスープを作っていると、足をちょいちょいとつつかれ、リアラは足元を見る。

(何か手伝うことあるか?)

「あ、ネロ。じゃあ、もう少しでじゃがいもが茹で上がるから、皮を取ったじゃがいもを潰してもらってもいいかな?」

(わかった)

頷いたネロはテーブルに飛び乗り、大人しくお座りの体勢をとる。
ダンテ達と違って猫の姿になっても何かしら手伝おうとするネロは、家事を一手に担うリアラに申し訳ないと思うのか、ちょくちょくこうして手伝いを申し出る。最初は猫の姿で手伝うのは大変だろうとリアラは断ったのだが、それでも手伝うと言うネロの言葉に折れる形となり、今はご飯の支度をする時にちょくちょく手伝ってもらっている。
猫の姿でも健在な悪魔の右手が意外と役に立っていて、こういう材料を潰す時や叩く時に大活躍している。…バスターをする形で、だが。
茹で上がったばかりのじゃがいもを苦戦しつつも皮を剥いてボウルに入れると、リアラはマッシャーと共にネロの目の前に置く。

「じゃあ、お願いね」

(ああ)

ネロが頷くと右手が淡い光を放ち、元の姿の時と同じ悪魔の手が空中に現れた。そのままマッシャーを掴み、器用にじゃがいもを潰し始めたネロを髭は感心したように眺める。

(器用なもんだな。猫のままでも暮らしていけるんじゃないか?)

(馬鹿なこと言ってんじゃねえよ、おっさん)

「あーもう、二人ともけんかしないで。ダンテさんも余計なこと言わないでください」

自分に向けられた言葉ではないからニャーニャーと猫の鳴き声にしか聞こえないが、いつものやり取りからどんなことを言っているかくらいは推察できる。
リアラが二匹に注意していると、リビングから新たにもう一匹やってきた。

(悪いリアラ、喉が渇いたから水くれないか?)

「水?ちょっと待ってくださいね」

一旦調理の手を止めると、リアラは冷蔵庫を開けてミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出す。浅めの皿に中身を注ぐと、やってきた猫の前にそれを置いた。

(サンキュ)

「どういたしまして。初代、2様達は今何をしてるんですか?」

リアラが尋ねると、水を飲んでいた初代は一旦顔を上げる。

(2様なら屋根の上で寝てる。若とバージルは…)

フシャー!!

その時、初代の声を遮るようにリビングの向こうから威嚇するかのような鳴き声が響いた。

「またやってるの?もう…」

リアラは呆れながら立ち上がると、リビングへ向かった。

「二人とも、いい加減にしなさい!」

リビングに入るや否や、目の前で毛を逆立てて威嚇し合う二匹の首根っこを掴むと、リアラはキッ、と睨みつける。

(バージルから先にケンカふっかけてきたんだぜ!?俺のせいじゃねーよ!)

(お前の顔を見ていると不快になるからな、尻尾を踏んでやっただけだ)

(んだと!?)

「やめなさい!二人とも、ご飯抜きでいいの?それとも外に放り出されたい?半魔の気配のする猫なんて、すぐに悪魔にやられちゃうと思うけど?」

怒りを含んだリアラの言葉に、う、と二匹は黙り込む。
リアラは二匹をソファに下ろす。

「晩ご飯ができるまで大人しくしててね。次にけんかしたら外に放り出すからね」

ビシッ!と指を差し、リアラは踵を返す。が。

(なあなあリアラ、頭撫でて)

「…はい?」

(俺被害者なんだぜー?少しは優しくしてくれてもいいだろ?)

「…ちょっとだけだよ」

なぜこんな流れになるのかわからないが、確かに今回の原因はバージルにあるだろう。呆れつつもソファへと戻り、若を抱っこして座ったリアラは若の頭を優しく撫でる。
目を細め、若はゴロゴロと喉を鳴らす。

(んー、気持ちいい)

(おい若、そこは俺の特等席だぞ!)

(おっさんのだっていつ決まったんだよ、たまにはいいだろ)

(ああ、また何か起きそう…)

ニャーニャーと言いあう若と髭に深いため息をつき、いつ調理を再開できるのだろうかとリアラは考え始めた。





6匹の白にゃんこ
(いつになったら元の姿に戻るのかな…)
9.19〜

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