意外な特技?
※if設定で、夢主+allメンバー。
昼過ぎ、昼食の後片づけを終え、リアラと2様がキッチンから出てきた時だった。
「…何これ」
目の前の光景に、リアラは目を瞬かせる。何かのゲームをやっているらしく、ソファに座っている若は布で目隠しをしており、その様子をソファの背もたれに寄りかかりながら、髭が見ている。向かいのソファではバージルが我関せずという風に本を読んでおり、ネロは階段近くに立っている。
やがて、階段から初代が下りてくると、髭が若に尋ねた。
「若、今下りてきたのは誰だ?」
「ネロだろ!」
「残念、俺だ」
「うわ、初代かよ!また間違えたー!」
「お前、一つも当たらねーなー」
若は悔しそうに地団駄を踏み、髭や初代はおかしそうにケタケタ笑う。
リアラが話しかけようかどうか戸惑っていると、目隠しを取った若がこちらに気づいた。
「あ、リアラ、2様!二人もやろーぜ、おもしろいからさ!」
「えっと…何やってるの?」
「目隠ししてさ、階段を下りてくる音だけで誰か当てるゲームやってんだ!今んところトップはオッサン」
「ビリは若な。こいつ、まだ一つも当たってねーんだ」
「余計なこと言うなよ!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ若に肩を竦めつつも、初代が二人の元に近づいてくる。
「ま、相変わらず依頼がなくて暇だしな、何かやろうぜってなって、こうなったってわけだ」
「そうなんだ…」
「ま、せっかくだしやってみろって。ほら」
「え、わっ、ダンテさん…!」
いつの間にか傍に来ていた髭に肩を掴まれ、リアラはソファに座らされる。若に布で目隠しをされてしまい戸惑うリアラの頭を、2様が優しく撫でてやる。
「…せっかくだ、付き合ってやれ」
「…仕方ないですね…」
ふぅ、とため息をついたリアラはゲームに参加することになった。
*
「……」
「……」
リアラがゲームに参加してまだ5分だが、若やネロはあんぐりと口を開けていた。かれこれ10回ほどやっているが、リアラは一回も間違うことなく、全て当てているからだ。
現在11回目、2様が階段から下りると、髭がリアラに尋ねる。
「リアラ、今下りてきたのは誰だ?」
「2様です」
またまた正解。しかも、迷うことなく、はっきりと言い切った。これにはさすがのバージルも驚き、ページを捲る手が止まっている。
感嘆の息をつき、初代が呟く。
「はー…。すごいな、リアラ」
「リアラは耳がいいもんな。魔狼の血をひくだけあるってことだ」
「人をよく見ている、ということだろう」
年長組の二人は驚かないのか、髭は褒めるようにリアラの頭を撫で、2様はポツリと呟く。
「あの…もう外してもいいですか?」
「ああ、いいぞ」
髭が頷くと、リアラは目隠しを外し、ふう、と息をつく。すぐ様、若がリアラに尋ねた。
「リアラ、何でそんなにわかるんだ!?耳がいいと、そんなにわかるもんなのか!?」
「それだけじゃねえ気がするけれど…。なあリアラ、何でそんなに聴き分けられるんだ?」
次いでネロにも尋ねられ、えっと、とリアラが説明し始めた。
「みんなそれぞれ、歩き方に特徴があるんだよ。それで聴き分けてるの」
「歩き方?」
「うん。一番わかりやすいのは若ね。ドタドタと大きな音立てて下りてくるから。ダンテさんもわかりやすいよ、ドン、ドンってだるそうに下りてくるし。初代はトン、トンって一定の間隔、ネロも初代に似てるけど、ちょっとゆっくりめかな。わかりにくいのはバージルと2様だなぁ、あんまり音しないし。あ、でもバージルの方が聴こえにくいな、戦い方が影響してるのかも。二人共、間隔は一緒だよ」
リアラの言葉に、若とネロはまたあんぐりと口を開け、バージルは目を見開き、初代と髭は感心したような声をあげ、2様はうんうんと頷く。
壁に掛けられた時計を見たリアラはあ、と声をあげる。
「そろそろ買い物に行かなきゃ」
サッと立ち上がり、リアラは出かける準備をするために2階に上がったのだった。
意外な特技?
(そういえば、リアラって毎朝、俺らが挨拶する前に挨拶してくるよな…)
(確かに…)
6.11〜9.18
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