新しい命

※ダンテ13歳設定




「さあ、こっちだ」

「う、うん…」

俺が旅を始めて数年が経った頃、突然おじさんが俺の元にやって来た。二人の間に子供が生まれたから、知らせにきたのだという。会ってやってほしいということで、俺はおじさんと一緒に数年ぶりにフォルトゥナにやってきた。
城に着くと、おじさんはおばさんの部屋に俺を連れて行った。中に入るように促されて、俺は戸惑いながら部屋の扉を開ける。

「いらっしゃい。久しぶりね」

ベッドの背に身体を預けて座っていたおばさんは、俺の顔を見て嬉しそうに笑う。その腕には、白い布にくるまれた何かが抱かれている。
俺は軽く礼をすると、ベッドに近寄った。

「子供が生まれたって聞いたんだけど…その、腕に抱いてるのがそう?」

「そうよ。ほら」

おばさんが腕の角度を変えると、布の中からちらりと赤ん坊の顔が見えた。
赤ん坊はすやすやと穏やかに眠っている。

「一週間前に生まれたばかりなの。女の子よ」

あなたに妹ができたわね、とおばさんはまた笑う。
ふいに、おばさんが赤ん坊をこちらに差し出した。

「ねえ、抱いてあげて」

「えっ!?」

戸惑う俺におばさんは腕の中の赤ん坊を手渡す。
おばさんの指示であっちへこっちへと腕を動かして、何とか形だけ赤ん坊を抱く体勢になった。
腕の中にある温かさに戸惑いながら、小さな顔を見つめていると、ゆるゆると赤ん坊の瞼が上がった。

「あ…」

俺を大きな丸い目で見つめる赤ん坊。その瞳は綺麗な瑠璃色で、おじさんと同じだな、と心のどこかで思った。
ふいに、赤ん坊が手を伸ばした。

「うー…」

「あら、お兄ちゃんに興味が湧いたのかしら」

くすくすと笑うと、おばさんは指を出してみて、と言う。
俺がおそるおそる指を赤ん坊の目の前に差し出してみると、赤ん坊は小さな手で俺の指を掴んだ。思ったより力強くて、それでいて温かった。

「名前も決まってるの。リアラっていうのよ」

その名前を耳にして、俺は自然とその名前を呟いていた。

「リアラ…」

その時、赤ん坊―リアラが嬉しそうに笑った。
その瞬間、何だか心が温かくなって。同時に、ある決意をした。
―この小さな妹を、絶対守ってみせる、と。





新しい命
(おめでとう、新しい家族)
8.5〜10.7

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