もしも、 5

「お前、それおじさんの恋を応援してるってことか?」

「最初は驚いたけどね。でも、好きなら応援してあげるべきかなって」


頷くダンテに、俺は呆れたように返す。


「あのなあ、おじさんは教師で、リアラは生徒だぞ?上手くいくと思うか?」

「でも、それは本人達次第でしょ?」

「そうだとしても、周りの目もあるだろ?社会では認められない付き合いだ」


そう言うと、ダンテは俺をじっと見て、ぽつりと呟いた。


「じゃあ、鈴はもし自分が先生で、私が生徒だったら、好きでも告白してつきあったりしないの?」


予想もしていなかった言葉に、俺は目を見開く。


「それ、は…」

「どうするの?」

「…」


考えてみる。
もし、俺が教師で、ダンテが生徒で。ダンテのことを好きになってしまったとしたら。
俺はしばらく考えを巡らせて、ぽつりと溢した。


「…考えられない」


そう、考えられないのだ。今のこの生活が当たり前で、考えもしなかったことだから。
でしょ?とダンテは首を傾ける。


「リアラの言う通り、その時になってみなくちゃわからないよ。私だって想像できないし」


だって、とダンテが続ける。


「今の、幼なじみで好きな鈴と、こうやって恋人になれたのが幸せだから。だから考えられない」

「ダンテ…」


俺に向かって微笑むダンテが愛しくて。思わずダンテの頭を撫でる。


「鈴」

「ん?」

「大好き」

「…おう」


俺が頷くと、ダンテは笑みを深めた。


「そろそろ帰るか。あまり遅くなるとおじさんやおばさんが心配する」

「うん」


ダンテが頷いたのを確認して、俺はレジに向かう。会計を済ませ、ダンテと一緒に店を出る。
家への帰り道、俺の腕に細い腕を絡ませながら、ダンテが俺を見上げて言った。


「あのね鈴、私、あの二人上手くいくと思うんだ」

「何でだ?」


俺が尋ねると、ダンテは嬉しそうに続ける。


「リアラが『人を好きになることはすごくいいことだと思うから』って言ってたでしょ?そう言えるリアラなら、おじさんの気持ちを受けとめられる気がしたの」

「…そうか」


こっそりと、俺は心の中で呟いた。
俺としてはどうとも言えないけど。まあ、見守るくらいならしてやってもいいかな。



***
まずはなまり様へお詫びを。
…すいません、書いてる内によくわからなくなってきました(・ω・`;)
おじさんの両親とうちの子の両親が知り合いなのは、拙宅の長編の設定をそのまま使わせていただきました。
うちの子とおじさんも性転換しようかと考えていたのですが、うちの子はパニックになりそうだし、おじさんはにょたになるとうちの子では手に負えさそうだったので止めました。
なまり様の意見を取り入れながら書いている内になぜかシリアスに…なぜだ?(・ω・`;)
恋愛の価値観については、長編での夢主の考え方と共通するように書きました。
なまり様、「これうちのダン鈴じゃねーよ!」と思ったらぐしゃぐしゃにしてゴミ箱に投げてください、本当に←
ネタを貸していただき、どうもありがとうございました。

2013.6.17

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