何もかもが上で 9

「…その、」

「ん?」

「こちらこそ、いつもありがとうございます」


こんなに優しくしてもらって…というリアラの言葉に、ダンテは目を瞬かせ、やがてふっと笑った。


(まったく、こいつは…)


あの事件以来、人と関わるのが苦手で。なかなか表情が変わらないから他人から表情が乏しいと思われがちだけど。気を許した人にはこんなにいろんな表情を見せてくれる。


(かわいいもんだな)


家族として心許せる存在で。この生活を楽しんでいる自分がいる。
何となく心が温かくなるような感覚がして、自然とダンテは微笑む。


「さて、と。いつまでもこうしてると紅茶が冷めるな。飲むか」

「あ、はい」


頷き、ダンテの膝から降りると自分のカップを引き寄せ、リアラはダンテの隣りに座る。
それにくすりと笑みをもらし、ダンテは紅茶に口をつけた。

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