何もかもが上で 7
夕暮れの中、二人は事務所への道を歩いていた。
「すっかり暗くなっちゃいましたね…」
「ああ。悪魔が出ないとも限らないし、急ぐか」
「はい」
ダンテの言葉にリアラは頷くと、彼の方を見上げて言った。
「ダンテさん」
「ん?」
「今日は、いろいろとありがとうございました」
そう言い、リアラはぺこりとお辞儀をする。
服や靴を見るのに付き合ってもらって、昼食と夕食をご馳走になって。
あまりにいろいろとしてもらって何だか申し訳なくて、せめてものお礼にとリアラはお菓子を作る約束をした。あまり時間をかけて作れないため、今日は短い時間でできるマドレーヌにした。
なので、リアラの手には服と靴の入った紙袋が一つずつ、お菓子の材料が入った袋が一つある。
「帰ったらすぐにお菓子作りますね」
「ああ、楽しみにしてる」
ふわりと笑うリアラにダンテも優しく微笑み、頷いた。
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