2様編 2
「ん…」
微かに漂うおいしそうな匂いに、雪菜は目を覚ました。
(どれぐらい寝ちゃったんだろう…)
時間を確認しようとして身体を起こした時、扉の向こうからノックの音と共に声が聞こえた。
「雪菜、起きてるか?」
「起きてるよー…」
雪菜は返事をしてから、はた、と気づく。
(あれ、今の声ってダンテだよね?何で元の姿に戻ってるの?)
さっきまで猫の姿だったはずじゃ…、と考えて、雪菜は徐々に顔を赤らめていく。
(まさか…まさか…!)
雪菜がその考えに行き着いたと同時に、部屋の扉が開けられ、ダンテが顔を覗かせた。
「入っていいか?」
「!」
ダンテの顔を見た雪菜は思わずベッドの端へと後ずさる。雪菜の様子に首を傾げたダンテだったが、すぐに理由を察して、申し訳なさそうに言った。
「…すまない。やりたいことがあって、どうしても元の姿に戻る必要があって…」
部屋の中に入ると、ベッドの上で顔を真っ赤にして俯く雪菜に近寄り、優しく頭を撫でる。
「後でちゃんと説明するから。許してくれ」
「…もう、こんなことしない?」
「ああ」
なるべく、な、と言って色っぽく笑うダンテに雪菜は再び顔を真っ赤にしたが、まあいいかと思い、わかった、と頷く。よかった、と言って優しく笑うと、ダンテは居間の方を指差す。
「今、ちょうど夕飯ができたんだが…食べれるか?」
ダンテの言葉に、雪菜は目を見開く。
「ご飯?ダンテが、作ったの?」
「ああ」
いらないか?と聞かれ、雪菜は首をぶんぶんと振る。
「食べたい!今、ちょうどお腹空いた!」
少し眠ってある程度疲れがとれたのと、先程からするおいしそうな匂いのためか、雪菜はお腹が空いていた。
そうか、と笑い、ダンテは雪菜に手を差しのべる。
「じゃあ、行くか」
「うん!」
大きく頷き、雪菜はベッドから降りた。
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