‐『番犬』編‐ 3
何軒目かの小さな雑貨屋で、リアラはある物に目を留めた。
「これなんかどう?」
「ん?どれ?」
リアラの呼びかけにネロが顔を寄せて、彼女の指差す物を見る。
テーブルに並べられた色とりどりの髪留めの中でリアラが指差したのは、掌にのるくらいの大きさで楕円形の中に花の透かし彫りが施された白い髪留めだ。
「二人の通う学校って、制服が白いでしょ?同じ白で統一感があるし、キリエの髪は茶色だから映えるんじゃない?」
リアラがそう言うと、ネロはそっか…、と呟き、頷く。
「いいな。それにする」
ネロも納得したようで、その髪留めを手に取ると、レジへ向かっていく。 その様子をリアラは微笑みながら見つめていた。
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