‐一日編‐ 13

身体を洗い終えた若が再びリアラの元にやって来ると、リアラは顔近くまでお湯に身を沈め、顔を伏せていた。
リアラの隣りに座り、自分もお湯の中に身体を沈める。横から彼女の表情をうかがうと、彼女は困ったように瞳をさ迷わせている。それにくすくすと笑うと、若はリアラに抱きついた。びくり、とリアラの肩が跳ね、リアラは若の方を振り向く。


「わ、若!?」

「リアラ、あったかーい」


そう言うと、若はリアラの肩に頭を寄せて甘えるようにすりよる。
一方、若に抱きつかれたリアラは頭がパンク寸前だった。あうあう、と単語にならない言葉が口から漏れ出る。
実質、この屋敷に女性はリアラ一人しかいない。若も普段はリアラと同じ格好で働いているが、若は男性であり、リアラにとっては異性なのだ。実際、若が男性であることを示すように、リアラの背中に回されている腕は細いながらも鍛えられており、隆起した筋肉が腕を覆っている。
しかも、今は二人ともタオル一枚しか身につけていない。若に至っては腰にタオルを巻いているのだから、上半身の肌が直接触れてしまい、余計にパニックに陥ってしまう。
一人ぐるぐると考え込んでいるリアラに、若は寄りかかっている肩から顔を上げて言う。


「…ねぇ、リアラ」

「…な、何…?」


戸惑いながらリアラが問うと、若は甘えるような声でお願いする。


「今日、一緒に寝て?」


これなら寝坊しなくていいでしょ?と続けた若にリアラは顔を真っ赤にし、叫んだ。


「っ、だ、だめーーー!!!」


夜遅く、屋敷中にリアラの叫びが木霊することとなった。
結局、一日の終わりまでリアラの苦労は絶えないのであった。



***
2013.2.15

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