‐一日編‐ 9
午後1時、屋敷の住人達の昼食が終わり、使用人達の唯一の休憩時間。リアラと若は昼食を食べるため、調理場にいた。
調理台に頬杖をつきながら、若が言う。
「ごめん、リアラ…」
本日何回目の謝罪だろうか。リアラはケチャップライスを炒めながらため息をつく。
「無理にまとめて持って行こうとするからでしょ」
あんなの、誰だってバランスを崩すわ、とリアラが言うと、若は「ごめん…」と再び言い、台に突っ伏してしまった。こちらも再びため息をつき、でも、とリアラは口を開く。
「若が一生懸命なのはわかるし、いつものお詫びにってやってくれたんだから、そんなに気にしなくていいわよ」
とりあえずこれ食べて元気出しなさい、とリアラは若の前にできあがったばかりのオムライスを差し出す。
食欲をそそるいい香りに若が顔を上げる。途端、目がキラキラと輝き出す。
「オムライス…」
「ほら、早く食べないと冷めるよ」
リアラが促すと、若は律義に手を合わせて「いただきます!」と言い、オムライスを食べ始める。
「おいしい!」
「それはどうも」
嬉しそうにオムライスをパクつく若を見ながら微笑み、リアラも自分の分に手をつけた。
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