‐一日編‐ 7

「朝から不快なものを見せるな。気分が悪くなる」


そう言う男性の眉間にはすでに皺が寄っている。


「そんな顔すんなよ。いつもそんな顔してたら、皺が消えなくなるぜ」

「余計な世話だ」


からからと笑って返すダンテを男性は鋭い目で睨みつける。
髪を後ろに撫で付け、辛辣な発言をするこの男性は、この屋敷に住む住人の一人で三兄弟の次男―バージルである。リアラ達が仕える内の一人であり、自分にも他人にもかなり厳しい性格のため、リアラが少し苦手としている人物の二人目だ。
二人のやりとりで空気がピリピリとし始めた時、バージルの隣りに座っていた若い男性がぽつりと呟いた。


「…早く飯食わないと、学校に遅れるんだけど」


呆れたようにこの状況を見つめていたこの男性は、この屋敷に住む住人の一人で三兄弟の末っ子―ネロである。リアラ達が仕える内の一人であり、喜怒哀楽がはっきりしており、不器用ながらも人を気遣える性格だ。若とは歳が近いためか、とても仲がいい。


「そうだな、じゃあ早く食べようか」


末っ子の言葉に主人が頷く。それを機に、長男と次男が話すのを止め、ピリピリとした空気が穏やかなものになる。
ようやく朝食が始まったことに安堵の息をつきながら、リアラは心の中でネロに感謝した。

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