幼なじみ振り向かせ大作戦! 4
アリスが事務所の近くまで来た時、聞き慣れた声が聞こえた。顔を上げると、向こうからダンテとトリッシュがこちらに向かって歩いてきていた。声をかけようと、アリスは駆け出す。
「ダン…」
「だから、あいつのことは何とも思ってないって」
「…え?」
思わず、アリスは立ち止まる。
今、何て…?
「本当に?」
「本当だ。あいつはただの『妹』で、恋愛感情はない」
「じゃあ、何で一緒に暮らしてるの?」
「あいつが住むところが見つかるまで置いてるだけだ。住むところが見つかったら出ていくだろ」
ただの『妹』。住むところが見つかるまで置いてるだけ。
ああ、なんだ、そうだったんだ。
その時、トリッシュがアリスに気づいた。驚きに目を見開いている。何か言いかけたが、その前に気づいたダンテがアリスに声をかけた。
「ああアリス、帰ってきたのか」
「うん、ただいま」
アリスは精一杯の笑みを浮かべる。
「悪いな、トリッシュに呼ばれてちょっと出てた」
「いいよ、気にしないで。今からご飯作るけど、よかったらトリッシュも食べていかない?」
「ええ…」
「じゃあ、今から用意するね」
トリッシュの視線に気づかないふりをして、アリスは事務所の中に入った。
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