瑠璃と碧 16

「ん…」


小さく声を漏らし、ダンテは目を開けた。何度か瞬きをした後、腕の中の温かさに気づき、下を見る。腕の中で、リアラがすやすやと穏やかな寝息を立てて眠っていた。


(ああ、そういえば…)


ダンテは昨夜のことを思い出す。
あの後、お互いに自室で着替えてから、リアラの部屋に入って半ば無理矢理リアラと一緒に寝たんだったか。
自分の子供っぽさに笑いながら、ダンテはリアラの頭を撫でる。


(しかし、とんだへまをしたもんだな)


依頼の悪魔を狩り終え、さあ帰ろうという時に悪魔に呪いをかけられるとは。


(リアラには色々と迷惑かけちまったな…)


若い時の自分は後先考えずに行動することが多かったから、リアラの性格を考えると振り回されることが多かっただろう。
それにしても、とダンテは思う。


(敬語使わないと、あんな感じなんだな)


リアラは普段自分に対して敬語を使っているから、ああやって砕けた感じで話しているのは何だか新鮮だった。


(優しいところは相変わらずだったけどな)


ダンテがくすりと笑みを漏らすと、リアラが小さく身動いだ。


「ん…」


小さく声を漏らし、リアラは目を開ける。ぱちぱちと目を瞬かせ、リアラは呟いた。


「ダン、テ…?」

「起きたか?」


まだ目が覚め切っていないようだったが、ダンテの声を聞いた途端、リアラの目が大きく見開かれた。


「ダ、ダンテさん!?」

「おう」


ひらひらと手を振ると、リアラは慌ててダンテから離れようとする。それをやんわりと抱きしめることで阻むと、ダンテはリアラの頭上で呟いた。


「…色々と迷惑かけたな。悪かった」


リアラは顔を赤く染め、うつむきながらもふるふると首を振る。


「足はもう大丈夫か?」


その問いに、コクコクと頷くリアラ。その必死な様子にダンテは笑うと、リアラの頭を優しく撫でた。


「もう少し休むか?」

「…うん…」


しばし考えた後、リアラは頷く。頭を撫でるダンテの手が心地よくて、すでに夢の世界に足を踏み入れていた。
うとうととしつつ、リアラは口を開く。


「ダンテさん…」

「ん?」

「起きたら、ストロベリーサンデー、作りますから…」


それだけ言うと、こてりと頭を傾け、リアラは眠ってしまった。
ダンテは目を瞬かせたが、クックッと笑いを堪えて呟く。


「まったく…」


若い自分と約束したことを律義に守ろうとしている彼女の真面目さに呆れながらも、その言葉が嬉しくて、ダンテはリアラの耳元で囁く。


「…楽しみにしてる」


微かに笑った彼女を抱きしめ直すと、ダンテも眠りについた。



***
お待たせ致しました、闇姫様リクエストで、ボカロの『ダブルラリアット』、長編夢主でした!
本来はギャグ×甘でリクエストを頂いていたのですが、管理人の力不足で甘だけになってしまいました…。すみません、ギャグってどう書けばいいんですか?←
し、精進します…!
今回はうちの子と若(若返っちゃったおじさん)で書かせて頂いたのですが、書いててすごく甘くなりました。なぜだ?←
チュロスの食べさせ合いっことか、おでこ合わせるとか、書きながら、「お前等、恋人だろ!恋人だろ!?」と突っ込んでいました(笑)
そして、この心の通じ合いの半端なさ。すごいな、二人共(笑)
闇姫様の描く若大好きなので、描いてくださらないかな…←
あ、ちなみに曲のイメージで腕振り回してるのがダンテで、振り回されながらも見守ってるのがうちの子です。
闇姫様、リクエストありがとうございました!

2013.9.4

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