瑠璃と碧 15

「ん…」


小さく身動ぎすると、リアラはゆっくりと目を開けた。緩慢に瞬きを繰り返し、ダンテを見て呟く。


「ダン、テ…?」

「リアラ!」


ダンテはリアラをぎゅっと抱きしめた。そして、安堵の息をつく。


「よかった、目が覚めて…」

「ダンテ…」


リアラはダンテを見つめると、申し訳なさそうに口を開く。


「ごめんね、心配させて…」

「いや…」


ダンテは首を振る。


「俺が気づかなかったのが悪い。そのせいで、お前に怪我させた。…ごめん」

「ダンテのせいじゃないよ。私が考えずに攻撃しちゃったから、あんなことになっちゃったの。…ごめんね」

「リアラ…」


自分を庇って怪我をしたのに、自分のせいだと言う彼女。
思わずダンテは苦笑を漏らす。


「お前は優しいな」

「そんなことないよ」


そう言うと、リアラはダンテに向かって微笑みかける。


「ありがとう、ダンテ。…魔力を分けてくれて」

「え…?」


予想もしなかった言葉に、ダンテは目を見開く。そんなダンテの様子に、リアラは首を傾げる。


「…気づいてなかったの?」

「いや、魔力を渡せたら、とは思ったけど…」

「そっか。けど、ダンテがそう思ってくれたから、魔力を分けてもらえたのかも」


そう言うと、リアラは自分の足を見やる。つられてダンテもそちらに目をやると、彼女の足はすっかり元通りになっていた。


「痛みで苦しんでたらね、ふいに温かいものが身体を流れていくのを感じたの。それで、ふっと身体が楽になった」


だから、とリアラは続ける。


「ありがとう、ダンテ」

「いや…力になれたなら、いい」


首を振り、微笑んで返すと、ダンテはリアラの頭を撫でる。


「疲れてるだろ、今日はもう休め」

「ん…でも、せめて服は着替えたい…」


そう答え、起き上がろうとするリアラを留めると、ダンテは彼女を抱き上げ、立ち上がった。


「ひゃっ!ダ、ダンテ!?」

「治ったって言っても、歩くの大変だろ?俺が部屋まで連れていってやる」


ダンテがそう言うと、顔を赤らめ、しばらく視線をさ迷わせた後、リアラはこくりと頷いた。


「…ん」

「よし。じゃあ行くか」


リアラに笑いかけ、ダンテは2階への階段を上り始めた。

[ 80/220 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -