瑠璃と碧 14

事務所に着いたダンテは、リビングのソファにリアラを寝かせ、向かいに腰を下ろした。ケルベロスも心配そうにリアラを見つめる。
リアラの足は筋肉は再生されたようだが、皮膚はまだ再生し始めたばかりのようだった。


「リアラ…」


ダンテは手を伸ばし、リアラの頭を撫でる。先程より彼女の呼吸は落ち着いたが、未だに目を覚まさない。


(俺のせいだ…)


ダンテは顔を伏せる。
あの時気づいていたなら、自分を庇って彼女が怪我を負うこともなかったのに。


「ごめん、リアラ…」


コツン、と自分の額をリアラの額に合わせ、ダンテは呟く。
彼女の怪我の治りが遅いのは、苦手な炎属性の攻撃を受けたからだとケルベロスは言った。だから、怪我をした部分に魔力がなかなか行き渡らないのかもしれない。
自分の魔力を渡せたら…。
そう思い、ダンテは目を閉じる。
しばらく二人の様子を見守っていたケルベロスは、ふいにあることに気づいた。


(!怪我が…)


ケルベロスの目の前で、先程より早い速度で、リアラの足が治り始めた。それと同時に彼女の身体から彼女以外の魔力を感じ、ケルベロスは目を見開く。


(まさか、こいつの…!?)


ケルベロスはダンテに視線を移す。
今感じた魔力は、紛れもなくダンテのものだ。つまり、ダンテがリアラに魔力を与えていることになる。


(だが、どうしてそんなことができる?魔力を与える術など知らないはずなのに…)


そう考えていたケルベロスは、ふいにあることを思い出した。


(そういえば…)


以前、ダンテが怪我をした時、リアラが自分の魔力を与えて治癒の手助けをしたことがある。
リアラのように魔力を相手の魔力の形に合わせて渡すことはできないが、今、ダンテがやっていることはその時と同じだった。


(感覚で覚えているというのか?やり方を…)


だとすれば、ずば抜けた才能だ。さすがに、以前自分を認めさせただけのことはある。
その時、リアラの手が微かに動いた。

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