瑠璃と碧 12

リアラとケルベロスは距離を取りつつ、サラマンダーに氷柱の雨を見舞う。だが、小さいものだとサラマンダーが纏う炎に阻まれ、たちまち水蒸気となって霧散してしまう。


(小さいのじゃだめか…なら…!)


考えると、リアラは走り出す。


『ケルベロス、あいつの足元を凍らせて!』

『承知した!』


ケルベロスの頭が入れ換わり、赤い目の頭が地面に足を叩きつけた。ビキビキと音を立てて氷が広がり、サラマンダーの足を凍らせる。
地面を蹴り、大きく跳躍すると、リアラは両手を掲げる。できあがった氷柱は先ほどより遥かに大きいものだ。


「くらえっ!」


叫びと共にリアラが氷柱を振り下ろすと、氷柱はサラマンダー目掛けて落下していく。振り下ろされた高さと氷柱自身の重さにより速度を増したそれは、鈍い音を立ててサラマンダーの身体を貫いた。

ギィイイイイ!!!

叫び声をあげ、サラマンダーが身をよじらせる。


(炎が弱まった!今ならいける!)


降下しながら、リアラが思った、その時。

ギィイイイイ!!!

「!」


突然声をあげ、サラマンダーの身体を包む炎が勢いを増した。同時に魔力の高まりを感じ、リアラは目を見開く。


(やばい、何かしかける…!)


未だ空中にいたリアラには地上の様子がはっきりと見て取れた。
サラマンダーを中心にして巨大な魔方陣が形成される。赤い輝きを増す、その線上にいたのは…


「ダンテ!」


線上にいたのは、最後の一体だったヘル=プライドを倒し終えたダンテだった。リアラの叫び声に気づき、ダンテが顔を上げる。様子からして、まだ気づいていない。


(このままじゃ間に合わない…!)


そう思ったリアラは、地面に着地し、走り出すと同時にデビルトリガーを発動し、白い狼の姿になる。


『ダンテ!』


リアラの必死な様子に、ダンテはようやく魔方陣の存在に気づく。だが、もう魔方陣は発動寸前だった。
その時。

ドンッ!

横からリアラがダンテに突進した。その勢いに押され、ダンテは魔方陣の外に押し出される。
だが。

ゴウッ

「ギャン!」

「リアラ!」


直後、魔方陣が発動し、立ち上った炎が逃げ切れなかったリアラの足に直撃した。上手く受け身を取れず、リアラは地面に転がり落ちる。
やがて炎は静まり、魔方陣の発動と共にその身を爆発させたサラマンダーは炎と共に消えていった。
ダンテは急いでリアラの元に駆け寄る。

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