瑠璃と碧 6
一時間かけて買い物を終えた二人が歩いていると、ふいにリアラが足を止めた。
「あ」
「どうした?」
「チュロス売ってる」
ダンテがリアラの指差した方を見ると、赤い屋根のかかった小さなワゴン車があった。たくさんのチュロスが並べられており、甘く香ばしい香りが漂ってくる。
「一つ買っていこうかな…ダンテも食べる?」
「いいのか?」
「うん。いろんな種類あるみたいだから、好きなの買おう」
そう言い、リアラはワゴン車へ向かっていく。ダンテもそれに続く。
「プレーンとチョコと…あ、苺あるよ」
「じゃあ苺」
「ふふ、やっぱりね。じゃあ、私はプレーンにしようかな」
お金を払い、それぞれチュロスをもらうと、二人は帰り道を歩き始めた。
「ん、おいしい」
「うまいな」
「よかったね。これもおいしいよ、食べる?」
「ん」
リアラが自分の分を差し出すと、ダンテはそれにかじりつく。
モゴモゴと口を動かすと、うまい、と笑った。
「よかった」
「サンキュ。リアラも食うか?」
「え?」
ずい、と目の前に苺のチュロスを差し出されて、リアラは目を瞬かせる。
「ほら」
「あ、うん」
ダンテに促され、リアラは目の前のチュロスを一口分食べる。
モコモコと口を動かすリアラに、ダンテが尋ねる。
「どうだ?」
「うん…おいしい」
「だろ?」
そう言ってニカッと笑う若に、何だか恥ずかしくなったリアラは顔を逸らす。
「どうした?顔真っ赤だぞ」
「何でもない」
ごまかすように早足で歩き始めたリアラに、ダンテは慌ててついていく。
(あんなことされると思わなかった…)
予想外のことに混乱してしまったリアラは、結局、事務所に着くまでダンテの顔を見れなかった。
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