瑠璃と碧 5
「賑やかだね」
「そうだな」
二人はスラム街から少し離れた、大通りの商店街に来ていた。
スラム街と比べて比較的治安のいいこの場所は、日中ということもあるだろうが、活気があり、行き交う人々で賑わっていた。
「何にしようかなー…。ダンテ、お昼と晩ご飯、何がいい?」
「どっちもピザがいい」
「どっちもは止めようよ…せめて晩ご飯ね」
歩きながら昼食と夕食の献立を決めていると、ふいにダンテがリアラをじっと見つめた。
「どうしたの?」
「いや…そういう服着るんだなーと思って」
リアラは碧のタンクトップに薄手のブラウンのカーディガン、白いショートパンツを履いていた。ショートパンツから伸びた脚に日の光が当たって、彼女の肌の白さをより際立たせている。
「あんまり、女の子らしいの好きじゃないから…」
苦笑するリアラの頭を、ダンテは優しく撫でてやる。
「別に責めてるわけじゃねえよ。リアラはリアラらしくでいいだろ」
「ダンテ…」
リアラはダンテを見上げる。
元の姿より身長が低いとはいえ、二人には頭一つ分の差がある。だから自然と見上げる形になるのだが、見上げた先にあったダンテの優しい目が元の姿とダンテと重なる。
(『今』も昔も、優しいところは同じだな…)
くすりと笑ったリアラに、ダンテは首を傾げる。
「どうした?」
「ううん、何でもない」
行こう、とダンテの手を取り、リアラは歩きだした。
[ 70/220 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]