瑠璃と碧 5

「賑やかだね」

「そうだな」


二人はスラム街から少し離れた、大通りの商店街に来ていた。
スラム街と比べて比較的治安のいいこの場所は、日中ということもあるだろうが、活気があり、行き交う人々で賑わっていた。


「何にしようかなー…。ダンテ、お昼と晩ご飯、何がいい?」

「どっちもピザがいい」

「どっちもは止めようよ…せめて晩ご飯ね」


歩きながら昼食と夕食の献立を決めていると、ふいにダンテがリアラをじっと見つめた。


「どうしたの?」

「いや…そういう服着るんだなーと思って」


リアラは碧のタンクトップに薄手のブラウンのカーディガン、白いショートパンツを履いていた。ショートパンツから伸びた脚に日の光が当たって、彼女の肌の白さをより際立たせている。


「あんまり、女の子らしいの好きじゃないから…」


苦笑するリアラの頭を、ダンテは優しく撫でてやる。


「別に責めてるわけじゃねえよ。リアラはリアラらしくでいいだろ」

「ダンテ…」


リアラはダンテを見上げる。
元の姿より身長が低いとはいえ、二人には頭一つ分の差がある。だから自然と見上げる形になるのだが、見上げた先にあったダンテの優しい目が元の姿とダンテと重なる。


(『今』も昔も、優しいところは同じだな…)


くすりと笑ったリアラに、ダンテは首を傾げる。


「どうした?」

「ううん、何でもない」


行こう、とダンテの手を取り、リアラは歩きだした。

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