瑠璃と碧 3

「ふぁぁ…」


大きな欠伸をしながら、ダンテは階段を下りる。
昨夜はシャワーを浴び、夕食を食べた後、すぐに眠ってしまった。彼女の話で納得したとはいえ、いろんなことがありすぎて疲れていたようだ。


「あれ?」


ダンテはリビングを見回す。リアラの姿はなく、いるのは彼女の魔具であるらしいケルベロスだけだ。
ダンテに気づいたケルベロスは口を開く。


「やっと起きたか」

「リアラは?」

「買い物に行っている。お前の服を買ってくると言っていた」


お前はここにある食事を食べていろ、と言われ、ダンテがテーブルに視線を移すと、トーストとベーコンエッグが置いてあった。出かける前に、リアラが作ってくれたのだろう。
ソファに腰かけ、ダンテが朝食を食べていると、ギイッ、と音を立てて事務所の扉が開いた。


「ただいま、ケルベロス。あ、おはよう、ダンテ」


姿を現したのはリアラだった。手には紙袋を持っている。
ソファから下りたケルベロスがリアラに近寄ると、リアラは屈んでケルベロスの頭を撫でてやる。
気持ちよさそうに目を細め、クゥン、とケルベロスが鳴く。


「お帰り、リアラ。あ、朝飯もらってるぜ」

「今食べてるの?一時間前に作ったから、冷めてるんじゃない?」


作り直そうか?と言うリアラに、ダンテは首を振る。


「いや、用意してもらっただけで十分だ。気にすんな。それに、冷めても十分上手いしな」

「大したもの作ってないよ」


苦笑すると、リアラはダンテの前に紙袋を掲げる。


「ダンテの服買ってきたから、食べたらこれに着替えて。その服だと動き辛いでしょ?」

「サンキュ、助かる」

「いいえ」


どういたしまして、と言い、リアラはキッチンへ消えていく。
とりあえず食べてしまおうと、ダンテは手にしていたトーストをほおばった。

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