瑠璃と碧 2

「…と、いうわけだ」

「なるほど…」


ダンテから一通り話を聞き終え、リアラは頷く。
あの後、悪魔と勘違いされ、危うく撃たれそうになったリアラだったが、気配で気づいてもらえたらしく、何とか騒動にはならずに済んだ。
状況が飲み込めていないダンテに、リアラはダンテと自分が事務所で一緒に暮らすまでの経緯と、普段は事務所で家事をこなしつつ、時々ダンテの仕事のパートナーをしていることを話した。未だ実感が湧かないようだったが、すんなりとダンテはリアラの話を信じてくれた。
リアラがダンテに事情を尋ねると、ダンテいわく、気づいた時には知らない森の中で突っ立っていたらしい。何とか森を抜けてスラム街に入り、ここに辿り着いたとのことだった。ダンテの依頼先は街からそれほど離れていない森だったため、幸い、それほど迷わずに事務所に戻ってこれたのだろう。


(たぶん、悪魔の呪いね。いつ解けるかわからないけど…)


向かいのソファに座るダンテを見ながら、リアラは思案する。
いつもなら呪いをかけたであろう悪魔の気配が感じられるのだが、今回は気配が感じられない。高等な悪魔だったのか、呪いをかけた時点で魔力がなくなってしまったのか。


(この様子だと、依頼主のところには行ってないだろうから、明日、報告しなきゃ…)


リアラがそんなことを考え始めた時、ダンテが感慨深そうに言った。


「それにしても、あのリアラがこんなになるなんてなー…。想像もできなかった」

「?」


リアラが不思議そうに首を傾げると、ダンテはソファから立ち上がり、リアラに近寄ってきた。服がブカブカなため、少し動き辛そうだ。


「すっげーきれいになった」

「!!?」


頬に手を添えられて言われた言葉に、リアラはぼふん、と音がたちそうな勢いで真っ赤になる。


「ははっ、顔真っ赤だぜ。かわいいな」

「か、からかわないでください、ダンテさん!」


リアラが叫ぶように言うと、ダンテはんー、と考えるようなしぐさを見せて言う。


「その『ダンテさん』って止めねぇ?そっちの方が年上だろ?」


お前いくつ?と聞かれ、リアラは素直に答える。


「23です」

「俺は19。お前が暮らしてる『俺』は年上だからいいかもしれないけど、俺はお前より年下だから呼び捨てでいい」


あと、敬語もなしな、と言われ、戸惑いながらもリアラは頷く。


「わかった…ダンテ」


リアラの返事に、ダンテは満足そうにニッ、と笑った。

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