瑠璃と碧 1

「ダンテさん、遅いなあ…」


カフェオレを一口口にし、リアラはため息をつく。
朝から依頼が入り、昼頃に事務所に帰ってきたリアラと入れ替わるように、昼頃にダンテは依頼に出かけた。ここからだいぶ距離のあるところらしいが、「夕方には帰る」とダンテが言っていたので、時間を見計らい、リアラは夕食を作り始めた。だが、夕方になってもダンテは帰ってこず、一時間前に作った夕食は冷めてしまっていた。


「何も…ないよね…」


不安になって、リアラは掌を握りしめる。足元にいた黒い犬がクゥン…と心配そうに鳴いて、こちらを見上げる。
苦笑し、リアラは黒い犬の頭を撫でる。


「心配させてごめんね、ケルベロス。大丈夫だよ」


頭を撫でられ、黒い犬―ケルベロスは気持ちよさそうに目を細める。
その時、事務所の扉が音を立てて開いた。ほっと安堵の息をつき、リアラは顔を上げる。


「ダンテさん、お帰りなさ…」


だが、出迎えの言葉は途中で止まってしまった。
なぜなら、リアラの視線の先にいたのは、リアラが知っているダンテより年若い、青年姿のダンテだったからだ。
リアラが固まっていると、青年姿のダンテがいぶかしがるように呟いた。


「…お前、誰だ?」

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