Animal Knight 21

「リアラ、決まった?」

「うん、ディーヴァは?」

「決まったよ」

「俺も決まったぜ!」

「俺も」

「じゃあ、一斉に出そう!せーのっ!」


ディーヴァのかけ声で四人は手に持った薔薇を出した。髭と若は赤、リアラは白、ディーヴァはピンクだ。


「二人共赤かー。さすが親戚なだけあるね」

「ふふ、そうね」

「おい待て、それは聞き捨てならねぇぞ」

「なんでおっさんと一緒にされんだよ!」


不満そうな顔をする二人に、リアラとディーヴァはくすくすと笑い合う。
ふいに、リアラが切り出した。


「ねぇ、薔薇の花言葉知ってる?」

「花言葉?」

「さっぱりわかんねぇ…」

「リアラ、知ってるの?ねぇ、教えて教えて!」


目をキラキラさせてせがむディーヴァに優しい笑みを返して、リアラは一つ一つ説明をしていく。


「薔薇は『愛』とか『美』、『私はあなたを愛する』っていう花言葉がよく聞くやつだけど、色によって違うんだよ」


そう言い、リアラはディーヴァの薔薇を指差す。


「ピンクは『上品』、『愛を持つ』、『しとやか』」


次に、髭と若の薔薇。


「赤は『愛情』、『情熱』」


最後に、自分の薔薇。


「白は『尊敬』」


他にもいろいろあるらしいよ、とリアラは言う。


「すごーい、リアラって物知りだね!」

「そうでもないよ」

「いや、すげーよ。けっこうおもしろいな」

「そうだな。…もう遅いし、そろそろ帰るか」

「あ、そうですね」


髭の言葉にリアラが頷くと、ディーヴァが声を上げる。


「待って、あたしもうちょっと見たい!」

「そう?じゃあ、ここで待ってるから、行っておいでよ」

「うん、ありがとう!」

「ディーヴァが行くなら俺も行く!」


ディーヴァが歩き出すと、若も後に続く。


「ちょっと、何で腰に手回してるの」

「恋人なんだからいいだろ?」

「もう…」


仲良く寄り添って行った二人に、リアラはくすりと笑みを溢した。


「仲いいですね」

「なあ、リアラ」

「はい?」


呼ばれ、リアラが振り返ると、髭が尋ねた。


「さっき、自分の持ってた薔薇の花言葉を説明した時、一瞬ためらったろ。どうしてだ?」


その言葉にリアラは目を見開くと、苦笑する。


「…ダンテさんには敵いませんね」


そう言うと、リアラは手の中にある薔薇を持ち直す。


「言うのが恥ずかしかったんです」

「恥ずかしい?」

「白の薔薇にはもう一つ花言葉があるんです。こっちの方が知られているんでしょうけど…」


ためらいつつ、リアラは言った。


「『私はあなたにふさわしい』」

「!」

「こんなこと、思ったことないから言うのが恥ずかしくて…。好きでいてもらえるだけで嬉しいのに…」


頬を染め、恥ずかしそうに瞼を伏せるリアラに、髭は手を伸ばす。


「…リアラ」

「何です…んっ」


尋ね終わる前に、リアラの唇に髭の唇が重なる。


「んん、んっ…!」

「ん…」


普段しているキスではなく、長く、軽く舌を絡めるキスに、身体から力が抜けていく。
カクン、膝を折って座り込みそうになったリアラを髭が支える。


「な、何する…!」

「…合ってるだろ、その言葉」

「え…?」


こちらを見上げるリアラに、髭は笑いかける。


「俺はお前じゃなきゃだめだ。他の奴なんて要らない」

「ダ、ダンテさん…」

「これからも、傍にいてくれ」


真摯な瞳に見つめられ、リアラは真っ赤になりながら、こくりと頷く。


「私で、よければ…」

「お前だからいいんだって言ったろ?」


苦笑しながら、髭はリアラを抱き寄せる。リアラは髭に身体を預けると、髭を見上げて言った。

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