上手くなった理由(わけ) 5

午後、ダンテは事務所の机の上に足を組みながら、雑誌を読んでいた。
昼食の時、リアラが「3時のおやつもありますから、楽しみにしててくださいね」と言ったため、ダンテは雑誌を読みながら暇を潰していた。
ふと顔を上げ、ダンテは時計を見やる。もう数分もすれば、3時になる。
もうそろそろか、とダンテが思ったその時、キッチンからリアラがひょこり、と顔を出した。


「ダンテさん、準備が出来たので、そっちに座ってください」

「わかった」


頷くと、リアラはキッチンに戻る。ダンテは読んでいた雑誌を机に置くと、先ほど昼食を食べていたテーブルに移動し、ソファに座った。
ほどなくして、リアラがトレーを持って何かを運んできた。テーブルの前で足を止めると、ダンテの前にそれを置く。
置かれたものを見て、ダンテは口を開いた。


「ミルクレープ…か?」


ダンテの言う通り、彼の目の前に置かれているのはミルクレープなのだが、普段見るのと少し違った。
普段見るやつは白いクリームが挟まれているはずなのだが、今目の前にあるやつはほんのりピンク色をしたクリームが挟まれている。
驚くダンテに微笑みかけながら、リアラは説明を始めた。


「今日、昼食の材料を買いに行った時に苺が安かったんです。せっかくだからお菓子を作ろうと思って。何となくミルクレープが食べたくなって、それなら、クリームを苺クリームにしてみようかな、って」


飲み物にも苺が入ってるんですよ、というリアラに促されてダンテがデザートの側のグラスを見やると、小さく泡を立てる炭酸水の底に赤い液体が沈んでいる。


「グラスに苺ジャムを入れて、そこに炭酸を注いでるんです」


混ぜて飲んでくださいね、とリアラは言うと、ダンテの向かいに座る。
ダンテは目の前のミルクレープにフォークを刺すと、ぱくり、と口に含んだ。

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