Animal Knight 16
昼頃に起きたリアラは今日が仕事の日だったのを思い出し、慌てて店に電話した。店長に事の経緯を話し詫びると、店長は気にしなくていい、とにかく無事でよかった、と言った。「どちらにしろ、今日は仕事ができないから、今日一日ゆっくり休むといい」と言われ、リアラはその言葉に甘えることにした。
今は、リビングでディーヴァと今日の計画を立てているところだ。
昨日の事件でごたごたしてしまったが、何せ今日は髭と若に会ってちょうど一年の記念日なのだ。
「ケーキ、どんなのにしよっか?」
「あの二人ならやっぱり苺でしょ?」
「そうだね。ショートケーキでもいいけど…今日は奮発して、苺たっぷりのタルトとかどう?」
「いいね!じゃあ、後は夕ご飯だけど…」
二人は顔を見合わせて、せーの、と声を揃えて言った。
「「ピザだよね(よね)」」
二人は楽しそうに笑う。
「そういえば、二人は?」
「一緒に散歩に行ったよ。珍しいよね」
髭はよく一人で散歩に行くが、若はディーヴァが一緒じゃないと散歩に行かない。若がディーヴァなしで散歩に行くこと自体が珍しいのに、それに加えて髭と一緒とは。
「本当に珍しい…。でも、たまには二人で話したいこともあるのかもね」
「たまには、っていうか、いつも二人じゃん。働いたりしてるわけじゃないんだから」
「あはは…でも、半獣って普通の人と仕事するのはなかなか難しいんだよ。私は女だからこうして働けてるけれど…」
半獣の存在自体は世間では知られているものの、なかなか受け入れてもらえない。自分の父も苦労したのを間近で見ているから、なおさら難しいと思う。同じ人間なのに、と思うことも度々ある。
それでも、幸せそうな両親を見ていて、二人の子でよかったと思うし、種族の壁を越えて一緒になった二人を誇りに思う。
「リアラって優しいよねー、あたしはどうやったって働かせようとするけど」
「そうでもないよ。さ、そろそろ買い物に行こっか」
「あ、そうだね」
二人は立ち上がり、買い物に行く準備を始めた。
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