Animal Knight 13

『きゃあっ!』

『怖いよう…!』

「止めて、その子達に乱暴しないで!」


脅すように動物達の入った籠を揺さぶる男に、リアラは叫ぶ。
目を覚ましたリアラはいつの間にか後ろ手に両腕を縛られ、縄を柱に固定されていた。
男はずっと、値踏みするようにこちらを見ている。


「お金が目的なの!?お金ならレジから出してあげるわ、だから、その子達に手を出さないで!」

「お金も目的だけどな…」


意味深に間を置き、男は続ける。音を拾うように、頭の上の狼の耳が動く。


「お前に用事があってさぁ、あのゼクスの娘のお前にな」

「!何で父様の名前を…!」


男から出た父親の名に、リアラは目を見開く。


「あいつ、同じ半獣のくせして俺等を捕まえようとするんだよなぁ…ムカつく」

「そんなの、あなた達が悪いことをしているからでしょ―」


すかさず反論したリアラの言葉を遮るように、パァン、と銃声が響き、リアラの左足を撃ち抜く。


「…っ、あああっっ!!?」

『リアラっ!』

『リアラぁ!』

「黙れよ…あいつと同じようなこと言いやがって…」


吐き捨てるように言うと、男はリアラに顔を近づける。


「お前の母親、家に強盗に入った半獣に殺されたんだろ?ざまぁねえな、あんな男と結婚するからだ」

「…っ!!」


リアラは目を見開く。
十年前、リアラの母・フィーリアは家に入ってきた強盗―夫と同じ半獣に殺された。その時、家にはリアラもいて、フィーリアのとっさの判断でクローゼットに隠れていたリアラは事なきを得た。
その後、警察の調査によって、警官であるリアラの父・ゼクスへの恨みによる犯行と判明した。今でもはっきりと覚えている。あの時の母の悲鳴や血に濡れた母の姿も、父の叫びも悲しみにくれる父の姿も。
それでも、それでも。
リアラはキッ、と男を睨む。


「ふざけるな…!父様は母様を守るために警官になった…!母様はそんな父様を誇りに思ってた…!あの二人は立派だ、社会に認められないからって恨むあんた達とは違う!」

「黙れ!」


ダンッ、と音を立てて、男はリアラの頭を柱に押しつける。


「っ…!」

「耳や尻尾の生えねえ女のお前にはわからねぇだろ、俺等の辛さが…!」


そう言うと、男は顔を歪めた。


「だからよ、せめて俺を慰めろよ。その身体を使ってな」


ツツ…と男の手がリアラの服の裾を捲り、肌をまさぐる。
恐怖でリアラがぎゅっ、と強く目を瞑った、その時。

[ 56/220 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -