Animal Knight 7

「なあ、おっさん」

「ん?」

「あの二人に会って、もうすぐで一年だろ?何かやってやるのか?」


風呂上がり、髭がタオルで髪を拭きながらビールを飲んでいると、突然若が話しかけてきた。ちなみに、リアラとディーヴァは風呂に入っていてリビングにはいない。
若の言葉に、髭はぱちぱちと目を瞬かせる。


「…驚いたな、お前がそんなことを覚えてるなんて」

「俺だって、そのくらい覚えてる」


拗ねたように若が返すと、髭は苦笑する。


「悪い悪い。そうだな…あいつ等には感謝してるから、何かしてやりたいんだがな…」


悩んでいるのか、髭はうーん、と唸る。
実際、自分達は彼女達のペットとしてここで暮らしていて、働いてお金を稼ぐ、なんてことはしていないのだ。
若くして家族を事故で亡くしてしまったディーヴァは、国の制度で援助を受けて高校に通っている。生活費は週3でバイトをして稼いではいるが微々たるもので、実質、ここでの生活を支えているのはリアラなのだ。
彼女も過去に母親を事故で亡くしているが、幸い父親が学費を工面してくれたため、専門学校まで行かせてもらった。
自分以上に辛い過去を持つディーヴァを少しでも手助けしたいと思うのか、生活でかかるお金はほとんどリアラが払っている。
彼女はそれを苦に思っておらず、自分は大人なのだから、と納得して働いているようだ。若いのにしっかりとしたもので、年上であるはずの自分が感心してしまうほどだ。
とはいえ、二人共がんばり、その中で自分達を養ってくれているのだから、感謝してもし足りない。


「お前はどうするんだ?」


髭が問うと、若は困ったように頬を掻く。


「俺も何かできるならしたいけど…何かプレゼントしようと思っても、働いてないから金なんてないし」


どうしたもんかなー…と若は呟く。


「確かに、金がないのは痛いな。まあ、あいつ等が高い物をほしがるとは思えないが」

「だよなー…」


はぁ、と若はため息をつく。
性格的に、リアラもディーヴァも高い物をほしがらない。どっちかと言うと、気持ちを大事にするタイプだから。
他の女とは違うから、余計悩む。まあ、そういうところも好きなのだが。


「お金のかからない、あいつ等が喜ぶ物、ね…。こりゃあ、明日、一日一杯考えないといけなさそうだ」

「だな…」


明日を思い、二人はため息をついた。

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