Animal Knight 3

数十分後、リビングのテーブルに料理を並べ終え、冷蔵庫にお茶を取りに行っていたディーヴァは、リビングから何かが倒れる音を聞いた。次いでリアラの驚いたような声。
どうしたのかとキッチンから顔を覗かせると、自室の入口でリアラが仰向けに倒れていた。彼女の上には彼女より遥かに大きい身体が被さっている。
手足をばたつかせながらリアラが叫ぶ。


「ダンテさんっ、こういうことは止めてくださいって何度も言ってるじゃないですか!」

「悪い、けど我慢できなくてな」


言葉とは裏腹にけろりとした表情で言う男性―ダンテ。
起き上がると、ダンテはリアラをゆっくりと抱き起こし、ぎゅっと抱きしめる。顔を真っ赤にしたリアラが何だかかわいそうで、ディーヴァは二人の元に歩み寄る。


「ダンテさん、あんまりそういうことしてるとリアラに嫌われるよ?」

「仕方ないだろ、あの姿だとこうすることもできないし」


我慢できねぇ、と言い、ダンテ(以降は髭と呼ぼう)はリアラを抱きしめる力を強める。


「お前も気をつけな。そっち」

「え?」


ふいに髭が指差した方をディーヴァが見やった、その時。

チュッ

「!」


いつの間にか隣りにいた犬のダンテにキスをされ、ディーヴァが目を見開いた次の瞬間には、先程のリアラと同じような状況になっていた。
ダンテはすりすりとディーヴァに頬を刷り寄せる。


「ディーヴァ〜♪」

「ぎゃあああ!!!」


女の子らしからぬ悲鳴をあげ、思わずディーヴァは持っていたお茶のペットボトルでダンテ(以降は若と呼ぼう)の頭をぶん殴る。


「いってぇ!」

「ば、馬鹿じゃないの!?信じられない!」


痛みに思わず頭を押さえた若から距離をとり、ディーヴァは若を睨みつける。


「だっておっさんがあんなことやってたら、我慢できるわけないだろ?」

「そんなの知らない!もう、最低!ダンテは今日ご飯抜き!」


そう言い、キッチンに向かうディーヴァに若は焦る。


「まじかよ!?ディーヴァ、許してくれよ!」

「知らない!」


二人のやりとりにいつの間にか置いてかれたリアラと髭は顔を見合わせる。


「…とりあえず、ご飯の用意しますか」

「…そうだな」


二人も立ち上がり、ディーヴァと若のいるキッチンに向かった。

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