上手くなった理由(わけ) 3
昼を少し過ぎたころ、居間のテーブルに皿を並べていたリアラの耳に扉の開く音が届く。
リアラが顔を上げ、音のした方を見やると、ダンテが扉の前に立っていた。
準備の手を止め、リアラは小走りでダンテに近寄る。
「ダンテさん、お帰りなさい」
「ああ」
上から下まで見てダンテが怪我をしていないことを確認して、リアラは心の中で安堵する。
一息吸い、ダンテが言う。
「いい匂いだな」
「今日は鶏のトマト煮です」
もうすぐで準備できますから、待っててくださいね、と言うと、リアラはキッチンへと戻っていく。
その後ろ姿を、ダンテは微笑みながら見つめていた。
[ 3/220 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]